孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

フランスの風。バッハ『G線上のアリア』~古楽器で聴く結婚式の定番曲(5)

結婚式の定番曲、5曲目もバッハです。『G線上のアリア』。これも超有名曲ですね。

結婚式のクラシックBGMランキングを載せたサイトがあったのですが、1位は『パッヘルベルのカノン』、2位が『主よ、人の望みの喜びよ』で、3位がこの曲になっていました。

原曲は『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』の『第2曲 エール』になります。

18世紀のダンスミュージック

管弦楽組曲とは、『フランス風序曲(ウベルチューレ)』と呼ばれることもあり、フランスが由来の形式です。

〝エール〟はフランス語で、イタリア語では〝アリア〟です。

イタリアが〝歌の国〟とすれば、フランスは〝踊りの国〟でした。

オペラは17世紀初頭にイタリアで生まれ、歌を中心にストーリーが進んでいきますが、フランスに伝わると、歌より踊り、すなわちバレエが劇の中心となりました。

そして、舞曲、つまりダンスミュージックが多く作られたので、それらを聴く専用にまとめたのが管弦楽組曲です。

クーラント』『ガヴォット』『メヌエット』『サラバンド』『ブーレ』『ジーグ』『バディネリ』『ポロネーズ』などがバロック時代の舞曲のジャンルです。

現代なら『ハウス』『EDM』『ヒップホップ』『R&B』といった感じでしょうか。

有名な『ワルツ』はかなり後世になります。

ドイツには、文化としてはイタリア、フランス両方に影響を受け、いいとこどりしたものを創造した面があります。

音楽でも、バッハ、ヘンデルハイドンモーツァルトベートーヴェンブラームス、、、等々、ドイツ陣の存在感は圧倒的ですね。

フランス風とイタリア風 

さて、様々なジャンルの舞曲を組み合わせたのが管弦楽組曲で、バッハには4つありますが、全て1曲目には壮大な〝フランス風序曲〟が置かれています。

どこがフランス風かというと、まず前半はゆっくり、堂々とした付点リズムの「緩」から始まり、後半、テンポの速い「急」になる二部構成になっているところです。

これは、太陽王ルイ14世をはじめとしたフランス王の宮廷で演じられるにあたり、〝陛下のお出まし〟の音楽だったからです。

「緩」の部分で〝ガヤ鎮め〟を行い、王を迎える緊張感を高め、「急」の部分で廷臣を従えた国王が華々しく御成りになり、着座。そして舞曲が始まる・・・そんな光景が目に浮かびます。

バッハはそのような実用のためにこの曲を作ったのではないので、「急」のあとにもう一度「緩」を持ってきて、音楽的に完結させています。

これに対し、イタリアでオペラの最初に演奏される序曲は「急―緩―急」で、こちらはイタリア風序曲と言われます。

ちなみにフランスでは、バロック期の音楽をバロックとは呼ばず、〝フランス古典音楽〟と呼んでいます。

バロックは〝ゆがんだ真珠〟を意味し、もともとは〝不規則な〟とか〝いびつな〟といったネガティブな意味で使われたため、フランスではそれを嫌ったと言われています。

ヴェルサイユ時代のそんなフランス古典音楽も素晴らしいので、いつかご紹介したいと思います。

バッハは〝小川さん〟?

 バッハは、それまでの各地、各時代の様々な音楽を集大成し、完成させたので、〝音楽の父〟と呼ばれています。

BACHはドイツ語で〝小川〟を意味するので、ベートーヴェンは『バッハは小川ではない。メール(大海)だ。』と評しました。

ダジャレっぽいですが、様々な流れが全てバッハに注いでいることを言い得て妙です。

では、その堂々たる序曲から聴いてみましょう。

バッハ『管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068』

 J.S.Bach:Suite no.3 in D major , BWV1068

演奏:トレヴァー・ピノック(指揮)イングリッシュ・コンサート

Trevor Pinnock, Simon Standage & The English Concert

第1曲 フランス風序曲(Ouverture) 

3本のトランペットとティンパニを使い、まさに王の威風堂々といった感じの壮大な曲です。おそらく、野外の祝典での演奏用に作曲されたと考えられています。 

第2曲 エール(アリア)(Air

一転、ヴァイオリンの独奏が情緒豊かに、きわめて美しい、としか言いようのない旋律を奏でます。しかし、組曲として通して聴くと、前後の曲との落差が大きすぎ、ここだけ世界が違うので、どうしても私は違和感を禁じ得ません。この曲を独立して聴き過ぎたせいでしょうか。舞曲ではないのに、ここに組み込まれているのも謎です。この曲が〝G線上のアリア〟と呼ばれるようになったのは、19世紀のヴァイオリニスト、アウグスト・ウィルヘルミが原曲をハ長調に移調し、ピアノ伴奏をつけて編曲してからです。ウィルヘルミは曲芸的に、ヴァイオリンの4本ある弦のうち最低音のG線のみで演奏したことからこの名がつきました。最初からG線のみで演奏するように作曲されたわけではありません。 

 

Orchestral Suite No. 3 in D Major, BWV 1068: I. Ouverture

Orchestral Suite No. 3 in D Major, BWV 1068: I. Ouverture

 
Orchestral Suite No. 3 in D Major, BWV 1068: II. Air

Orchestral Suite No. 3 in D Major, BWV 1068: II. Air

 

この上なく美しい曲ですが、私にはかなり切なく聞こえます。また縁起でもないことを言いますが、成らざる恋の苦しさ、のようなものを感じてしまうのは、私だけでしょうか。

バッハには胸に沁みる曲がたくさんありますが、成就した恋、恋人同士や夫婦の愛を感じるのは、私は『二台のヴァイオリンのためのコンチェルト』ニ短調の第2楽章の方です。こちらは結婚式で使われることはまずないですが。

感じ方は人それぞれですが、こちらはまた別項でご紹介したいと思います。

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