孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

音楽マニアのお殿様。バッハ『チェンバロ・コンチェルト』(2)

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バッハが仕えたアウンハルト=ケーテン侯レオポルト

前回に引き続き、バッハのチェンバロ・コンチェルトです。

バッハは、1685年に中部ドイツのアイゼナハで先祖代々音楽家という一族に生まれ、ドイツ各地、アルンシュタット、ミュールハウゼン、ワイマールといった都市で音楽キャリアを積みます。

そして1717年に、アウンハルト=ケーテン侯爵という領主に仕え、ケーテンの宮廷楽長に就任します。

ケーテンは決して大きな宮廷ではありませんでしたが、主君のオポルトは大の音楽好きでした。

彼の即位前は、この宮廷には音楽家は礼拝堂のオルガニストしかいませんでしたが、レオポルトは母にせがんで、3人の音楽家を雇ってもらう一方、本人もヴァリオリン、クラヴィーア(チェンバロなどの鍵盤楽器)、声楽などを習い、かなりの腕前になっていました。

即位後は、厳しい財政を切り詰めて、18人のメンバーからなる宮廷楽団を作り上げ、バッハにゆだねたのでした。

オポルトはバッハの音楽を大変気に入り、ふたりの関係はとても親密なものだったといいます。給料も、国の臣下で二番目の額が支給されていました。

ここまで信頼されては音楽家冥利に尽きると思い、ここに骨を埋める覚悟で珠玉の作品を君主のために生み出したのです。

バッハの世俗作品の多くは、このケーテン時代のものなのです。

しかし、音楽的に充実したケーテン時代も、長くは続きませんでした。

1721年にケーテン侯レオポルトは19歳の花嫁を娶るのですが、この侯妃は全くの音楽嫌いでした。

その影響で、レオポルトの音楽熱も冷めていってしまうのです。

男は結婚したら、それまでの趣味に妻の理解を得られず、泣く泣く止めさせられることはままあることですね。

プラモのコレクションを全部捨てられてしまうとか。笑

幸いにして私はそんな目に遭わずにすみましたが・・・。

 

やむなく、バッハはほかに就職口を探し、1722年にライプツィヒの聖トーマス教会のカントルに就任しました。

カンタータのところで触れたように、教会カレンダーに沿って、市内の4つの教会に毎月礼拝音楽を提供、演奏しなければならない激務ですが、ライプツィヒ市の音楽監督でもありましたので、町の音楽イベントにも曲を提供する必要がありました。

そんなときに、ケーテン時代に書き溜めた世俗曲をもってきました。

ライプツィヒの音楽団体には大きなチェンバロがあったので、ケーテン時代の多くの作品をチェンバロ・コンチェルトに編曲したのがこれらの曲です。

ヴァイオリンや管楽器のコンチェルトをチェンバロ用に編曲したのですが、原曲が残っているものもあれば、失われたものもあります。

 

では、3曲目と4曲目をご紹介しましょう。

バッハ『チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV1052』 

Concerto for Harpsichord , Strings ,and Continuo , in D minor BWV1052

演奏:トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート

Trevor Pinnock & The English Concert 

第1楽章アレグロ 

暗く激しく、そして情熱的な曲です。同じニ短調モーツァルトのピアノ・コンチェルト第20番を思わせます。デーモニッシュな響きは、近代を先取りしているようにも思え、私はこの曲を初めて聴いたときは、バッハとは思えませんでした。

のだめカンタービレ』では、千秋先輩がこの曲を弾き振り(ピアノを弾きながら指揮をすること)で演じ、のだめにショックを与えていました。

近代のコンチェルトは、オーケストラパートの時はピアノの手が空くので弾き振りも可能ですが、この時代の指揮は後世のようにタクトを振って指揮に専念するのではなく、チェンバロやヴァイオリンを弾いてリードしていくスタイルですから、鍵盤から手を離す暇は本来無いのですが。 

第2楽章アダージョ  

この楽章も短調です。陰鬱な弦楽のモノローグで始まり、チェンバロがポツ、ポツ、と語ります。深い嘆きの音楽です。

第3楽章アレグロ 

非常にドラマチックな楽章です。チェンバロは跳ねるように心に響きます。

壮大な物語の結末を見るような思いがします。 

バッハ『チェンバロ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1053』 

Concerto for Harpsichord , Strings ,and Continuo , in E major BWV1053

演奏:トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート

Trevor Pinnock & The English Concert 

第1楽章アレグロ 

前曲のニ短調とはうってかわって、屈託のない、明るく楽しい曲です。弦とチェンバロの息のあった絡み合いが聴きどころです。 

第2楽章シシリアーノ 

モーツァルトのピアノ・コンチェルト第23番イ長調の第2楽章と同じ、シチリア島のダンスに由来するシシリア-ノのリズムです。哀しげではありますが、暗くはなく、メランコリックな雰囲気が魅力です。チェンバロはまるで歌うかのようです。 

第3楽章アレグロ 

颯爽としたダンスのフィナーレです。チェンバロも華麗な舞踏を繰り広げ、様々な表情を見せます。時々こちらに意味深な視線を投げながら踊る貴婦人を見るかのようです。 

バッハ:チェンバロ協奏曲全集

バッハ:チェンバロ協奏曲全集

 

 

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