孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

年の差を超えた禁断の恋?モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』あらすじと対訳(10)『伯爵夫人と伯爵、スザンナの三重唱』

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フィガロの結婚』第2幕第2場

伯爵夫人の前で、ケルビーノ女装させたスザンナ

はしゃぎすぎたみたいで、伯爵夫人はちょっとご機嫌斜めです。

レチタティーヴォ

伯爵夫人

ふざけすぎよ!

スザンナ

でも、私だって妬けますわ

この子ったら、こんなに美人になっちゃって

伯爵夫人

いい加減になさい

さ、服が楽になるように、袖をまくった方がいいわ

スザンナ

こうですね

伯爵夫人

少し戻して

何?このリボン

スザンナ

私から奪い取った、奥様のリボンですわ

伯爵夫人

この血はどうしたの?

ケルビーノ

さっき転んですりむいたので、傷をリボンでしばったんです・・・

スザンナ

ちょっと見せて

たいしたことないわね

ああ、私よりも白い腕をして!

まるで女の子・・・

伯爵夫人

やめなさい!

もういいから、絆創膏を持ってきてちょうだい

(スザンナ退場)

伯爵夫人

この色はお気に入りなの

無くして残念だったのよ

ケルビーノ

そのリボンがあれば、もっと早く治りますのに・・・

伯爵夫人

どうして?

絆創膏よりリボンが効くなんて、聞いたことないわ

ケルビーノ

お肌に触れたり、お髪を結わえたりしたリボンですから・・・

伯爵夫人

おやおや、誰のかしら?

ケルビーノ

からかわれないでください!

もう私は出発するんです!

伯爵夫人

かわいそうに、とんだ災難ね

ケルビーノ

ああ、私は不幸です!

伯爵夫人

泣いているの?

ケルビーノ

ああ!死んでしまいたい!

最後の時には、きっとこの口から・・・

伯爵夫人(感動して)

何を言うの・・・

(ドアを叩く音)

誰かしら?

伯爵(ドアの外から)

どうしてカギをかけておる?

伯爵夫人

まあ!あの人だわ!

大変、もう手紙を受け取ったんだわ!

あなたがこんな姿でここにいるのが知れたら、もうだめ!

伯爵

開けろ!

誰と話しているんだ?

伯爵夫人

あなたとです!

私はひとりです

ケルビーノ

今度こそ、もうただではすまない・・・

(ケルビーノは衣装部屋に隠れ、伯爵夫人はカギをかける)

伯爵夫人

神様、どうかお守りください・・・

(ドアを開け、伯爵を部屋に入れる)

ここの、伯爵夫人とケルビーノのぎこちないやりとりは、意味深です。

夫から愛されなくなった伯爵夫人は、明らかにイケメン少年の熱烈な告白に心動かされています。

そして、何度もスザンナを別の部屋に用事で行かせ、無意識にふたりきりになろうとしているのです。

伯爵夫人自身は、そんな自分の深層心理には気づいていないのですが・・・。

フィガロの結婚』第2幕第3場

伯爵は入室するなり、『いったいどうした?カギをかけるなんてことはこれまでなかったのに!』と伯爵夫人をなじります。

伯爵夫人は、スザンナが婚礼衣装の着付けをやっていたものですから、今は自分の部屋に行っていますが・・・と苦しい言い訳。

伯爵は、この手紙を見なさい、と、フィガロが書いた、伯爵夫人が不倫をしているという匿名の手紙を出します。

と、その時、衣装部屋から何かを倒すような大きな物音が。

ケルビーノがヘマをやらかしたのです。

伯爵は誰かいるのか、と追及され、伯爵夫人はスザンナですわ、とさらに苦しい言い訳。

さっきはスザンナは自分の部屋に帰ったと言ったじゃないか!と伯爵は激高します。

第13曲 伯爵、伯爵夫人、スザンナの三重唱

伯爵

スザンナとやら、出てこい!

命令だ!

伯爵夫人

おやめください・・・

スザンナは出て来られないのです

スザンナ(部屋から戻ってきて、物陰に隠れる)

何の騒ぎかしら?

ケルビーノはどこ?

伯爵

なぜ止めるのだ

伯爵夫人

彼女の名誉のためよ

彼女は着替えの最中なのです

伯爵(傍白)

間違いない、愛人を隠しているな

伯爵夫人(傍白)

まさかこんなことになるなんて

スザンナ(傍白

状況は少し分かったわ

もう少し様子を見ましょう

伯爵

スザンナ、いるなら返事しろ!

伯爵夫人

ダメ、ダメ、ダメ!

スザンナ、命令です、答えてはダメ!

伯爵

奥方よ、分別をわきまえなさい

スキャンダルと騒ぎを防がなければ

スザンナ(独白)

ああたいへん!

スキャンダルと騒動がもちあがるわ

伯爵夫人

あなた、分別をわきまえて

スキャンダルと騒動を防がなければ

奥方がどうしてもカギを開けようとしないので、伯爵は大声で人を呼ぼうとします。

しかし奥方の名誉を考えて思い直し、全ての部屋にカギをかけ、誰も出られないよう密室状態にして、奥方同伴で、カギを壊す道具を取りにいきます。

絶対絶命のケルビーノ。さあどうなるか、それは次回に。

  

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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