孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

バッハ入魂の曲〝シャコンヌ〟バッハ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ 第2番』

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無伴奏ヴァイオリン・ソナタの自筆譜

不朽の傑作、シャコンヌ

無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ第2番です。

それぞれ、第2番は全曲の中で特に有名です。ソナタは第2楽章の大フーガ、パルティータは終楽章(第6楽章)のシャコンヌが聴きどころです。

シャコンヌは、数あるバッハの曲の中でも比類ない傑作とされ、不朽の名作と讃えられています。この曲の素晴らしさを伝える筆力がありませんので、フィリップ・シュピッタの評言を引用します。

『巨匠の精神が楽器に魂を吹き込んで、信じがたいほどの表現を生み出す。このシャコンヌは物質に対する精神の勝利であり、バッハといえども、これ以上の輝かしいものは2度と書きえなかったのである。』

シャコンヌ〟はフランス語で、イタリア語では〝チャコーナ〟と言い、バッハもイタリア語表記をしているのですが、一般的にはシャコンヌと呼ばれて親しまれています。

シャコンヌはスペイン領の新大陸が起源のダンスといわれています。ギターで伴奏され、エロティックな性格の踊りだったようで、スペイン本国やイタリアで大流行しましたが、元祖の曲はほとんど残っていません。煽情的だということで、教会や国からしばしば禁止されたそうです。フラメンコのようなものだったのかもしれません。

イタリアでは音楽として発達し、バッソ・オスティナート(執拗に反復する低音)による変奏曲を意味するものとなってきました。

バッハも形式としてシャコンヌを書いたのです。同様の、低音の繰り返しの上に様々な変奏が展開するものにパッサカリアがあり、バッハにも有名なオルガン曲がありますが、シャコンヌパッサカリアの違いははっきりしたものではありません。

バッハのシャコンヌは快活な踊り、という性格はまるでなく、深い精神性を宿した大曲となっています。

バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003

J.S.Bach : Sonata for Violin Solo no.2 in A minor, BWV1003

演奏:ジギスヴァルト・クイケン(ジョヴァンニ・グランチーノ製バロック・ヴァイオリン使用/1700年頃ミラノ

Sigiswald Kuijken

第1楽章 グラーヴェ

荘重な重音で始まり、全体の前奏曲となっています。 聴く人に深い畏敬の念を与えるような、スピリチュアルな雰囲気をもつ曲で、次の大フーガにつなげます。

第2楽章 フーガ

298小節というスケールの大きな大フーガです。バッハの生前からも有名で、バッハの友人でもあった作曲家にして音楽評論家、ヨハン・マッテゾン(1681-1764)はこの曲を次のように評しています。

『短い楽想がかくも展開力に富み、五線紙一枚以上の対位法を生み出すなどと、誰が信じるであろうか。それにもかかわらず、この形式に特別な才能を有する熟練したバッハは、まさにそのようなことをなしとげたのだ。』

1台のヴァイオリンが紡ぎだしたとは思えない壮大な世界で、その輝かしさに圧倒されます。

第3楽章 アンダンテ

低音がリズムを刻みながら、その上に情緒豊かなメロディがのせられていきます。これも、とても〝ひとり芝居〟とは思えない奇蹟です。

第4楽章 アレグロ

情熱あふれた、ロック的な曲です。バッハには珍しく、強弱記号が細かく記されています。それだけ、この曲の効果にこだわっていたのでしょう。実際、様々に編曲もされています。

バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004

J.S.Bach : Partita for Violin Solo no.2 in D minor, BWV1004

第1楽章 アルマンド

第1番と違い、さりげない始まり方で、流れるように進行していきます。何かを語りかけてくるかのようです。

第2楽章 クーラント

特徴的な付点リズムで、スキップするような躍動感にあふれています。

第3楽章 サラバンド

サラバンドらしい、重々しく、気品あふれた曲です。ゆっくりと伸ばされた音の美しさに、思わずため息が出ます。

第4楽章 ジーグ

和音はありませんが、速い曲なので、響きは単音とは思えない充実ぶりです。一度聴いたら忘れられないテーマです。

第5楽章 シャコンヌ

全曲の半分を占める、長大な曲です。古来、この曲の素晴らしさには百万言が費やされてきました。基礎となるオスティナート・バス(低音)の動きが、4小節ととらえれば64変奏、8小節ととらえれば30変奏ということになります。そのしっかりした基礎の上に築かれた、壮大な音の大聖堂です。あとはただ、音に身を任せるしかありません。様々な思いを乗せて、音の翼が広大な宇宙に広がっていくようです。シャコンヌは多くの作曲家が書いていますが、単にシャコンヌといえばバッハのこの曲を指します。たった1台のヴァイオリンで築かれた大伽藍ですが、人間はひとりだけでもこれだけのことができる、ということの証左とも言えるのではないでしょうか。まさに孤高の曲です。みんなの力と心がひとつになる合奏が与える感動とは、まったく逆の意義を持つものです。

 

シャコンヌ無伴奏でこそ、という曲ではありますが、様々な編曲でももちろん、違った魅力で楽しむことができます。

 

こちらは、オーケストラの力を添えた前衛的な演奏です。さすがにドラマティックになっています。

演奏:ネマニャ・ラドゥロヴィチ(ヴァイオリン)&ドゥーブル・サンス(オーケストラ)

 

こちらはチェロのみの4重奏です。低弦の響きが味わい深く、印象的な演奏です。この曲の違った魅力を引き出しています。

演奏:ラ・クァルティーナ

 

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