孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

題名の意味はあなた自身が自由にお考えください。ラモー『新クラヴサン組曲集 第2番(第5組曲)』〝めんどり〟〝未開人〟~ベルばら音楽(21)

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ジャン=フィリップ・ラモー

リアルであって、リアルでない曲たち

ラモーの『クラヴサン組曲クラヴサン組曲の最後、今回は第2番(第5組曲を聴きます。

第1組曲より、さらに標題のついた曲が増え、舞曲はついにメヌエット1曲だけになってしまいました。

これらのタイトルについて、ラモーは友人あての手紙で次のように述べています。

『私がどうしてこれらの題名をつけたか、あなた自身自由にお考えください。』

つまり、聞いてもラモーは教えてくれませんが、自由に想像してよい、ということなのです。

また、ラモーは標題の裏で、これまでの様式にとらわれない、新しい自由なスタイルを模索してもいるのです。

ラモー:新クラヴサン組曲集 第2番(第5組曲 ト短調ト長調

Jean-Philippe Rameau:Nouvelles suites de pièces de clavecin : Suite in G Minor - major

演奏:フェルナンド・デ・ルカ(クラヴサン)Fernando de Luca

第1曲 トリコテ

〝トリコテ〟とは編み物のことで、英語で言えばニットです。

編み物をせっせとしている女性の描写である、という説と、音で作った編み物を意味している、という説があります。どちらに聞こえるでしょうか。

愛らしく親しみやすいメロディがロンドー形式で紡がれていきます。

第2曲 無関心

この演奏ではバフ・ストップを使用して、ピツィカートのような音色にしています。

タイトルの意味は分かりませんが、こんな標題を見てから聴くと、どうしてもよそよそしさを感じてしまいます。

第3曲 メヌエット

この組曲で唯一の舞曲です。ト長調の第1メヌエットト短調の第2メヌエットの2部構成です。

ラモーが後にオペラを作曲するようになると、抒情悲劇(トラジェディ・リリック)の『カストールとポリュックス』の中の1曲に転用されました。

第4曲 めんどり

これは、あまりにそのまんまの描写で有名です。この曲のタイトルは?と知らない人に聞いても当たるでしょう。

ラモーといえばこの曲を連想する人もいて、それではラモーが気の毒ですが、とても魅力的な曲ではあります。

コッコッコッ、コケッ!

単純なモチーフですが、その後の展開は凝っていて、実にクール!

演奏の難しい難曲としても知られています。

ちなみにハイドンのシンフォニー第83番 ト短調にも〝めんどり〟という愛称があり、確かにコッコッコッというフレーズがでてきます。

鳥の声は作曲家たちにたくさんのインスピレーションを与えたようです。

ご参考にハイドンの〝めんどり〟を掲げておきます。

演奏:ブルーノ・ヴァイル指揮 ターフェルムジーク

第5曲 三連音

装飾音の美しさを追求した、雅な曲です。

第6曲 未開人

この曲もラモーの人気曲で、後に傑作オペラ・バレ『優雅なインドの国々』に転用され、まさに新大陸を舞台にした幕で、ネイティブ・アメリカンカップルが歌う愛のデュエットになりました。

フランス語では〝ソヴァージュ〟で、未開人風の髪型、という意味でも使われました。

エキゾチックな異国情緒が印象的な、一度聴いたら忘れられない曲です。

『優雅なインドの国々』の中の曲はこちらです。

演奏:テオドール・クルレンツィス指揮 ムジカ・エテルナ

こちらは、マルク・ミンコフスキの演奏会形式での素晴らしい演奏です。


Rameau, Rondeau des Indes Galantes

こちらは、若きチェンバロの鬼才、ジャン・ロンドーの演奏です。


Jean Rondeau records Rameau's Les Sauvages on harpsichord: album 'Vertigo'

第7曲 エンハーモニック

エンハーモニック〟とは〝異名同音〟のことで、音楽理論上、名前が違っていても実際には同じ音であることを指します。

例えば、平均律ではG♯と A♭です。

しかし、当時の調律では微妙に音程が違うため、不協和音になりました。

作曲家である以前に音楽理論家だったラモーの真骨頂といえる作品で、当時の慣習を破って不協和音を大胆に使った野心作です。

室内で行われたこの試みは、のちにオペラ『イポリートとアリシー』で、満座の劇場を驚かすことになります。

第8曲 エジプトの女

ラモーの〝女シリーズ〟の最後を飾る作品です。

なぜエジプトなのか分かりませんが、確かにここにも異国情緒が漂っています。

ナポレオンがたくさんの学者を連れてエジプトに遠征し、ロゼッタストーンを持ち帰るなどしてヨーロッパに『エジプト学』を流行らせたのは、この曲が出版されてちょうど70年後の、1798年のことです。

それまでヨーロッパの人々はエジプトにどんなイメージを持っていたのか、この曲から少しでも探りたいものです。

 

次回は、いよいよラモー50歳の挑戦です。

 

今回もお読みいただき、ありがとうございました。


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