孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

オラトリオ

演技や舞台装置のない、宗教的な内容の大規模な劇場作品です。

過ぎ去った青春の日々を取り戻すには。ハイドン:オラトリオ『四季』より第4部『冬』第37~39曲〝終曲〟

プッサン『人生の踊り』 四季こそ人生、というメタファー 今回はハイドンのオラトリオ『四季』の13回目、第4部『冬』のおわり、すなわち『四季』全曲のグランドフィナーレです。 霞がただよい、温かい空気に包まれて山野に草花が萌え、雪が消えた畑を農夫が…

外側はつややか、内側は無垢。乙女の胸のような亜麻布とは。ハイドン:オラトリオ『四季』より第4部『冬』第33~36曲〝糸紡ぎの歌〟〝メルヘン〟

フェリス『祖母の糸車』 〝ステイホーム〟の楽しみ ハイドンのオラトリオ『四季』の12回目、第4部『冬』の続きです。 前回、吹雪の中で道に迷い、日も暮れて絶望していた旅人が、遠くに人家の明かりを見つけます。 近づいて中を覗き、旅人が目にしたのは、暖…

冬は、北国ラップランドのほら穴からやってくる。ハイドン:オラトリオ『四季』より第4部『冬』第29~32曲〝冬の旅人〟

ピーテル・ブリューゲル『雪中の狩人』 ふたたび冬がやってきた ハイドンのオラトリオ『四季』の11回目、今回から第4部『冬』です。 『秋』で、盛大なワイン祭りがクライマックスで突然暗転するように締めくくられたあと、『冬』の陰鬱な序奏がはじまる場面…

待ちに待った新酒解禁!村人たちが歌う、千鳥足のフーガ。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第27~28曲〝ワイン祭り〟

ピーテル・ブリューゲル『聖マルティンのワイン祭り』 聖マルティンの祝日とは ハイドンのオラトリオ『四季』の10回目、第3部『秋』のフィナーレです。 『秋』の部は、収穫から始まり、恋、狩りと場面が次々と転換し、最後は盛大な宴会で締めくくられます。 …

響き渡る角笛、逃げる獣、追う猟犬、狩人の掛け声…音楽によるハンティング。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第23~26曲〝狩り〟

ベールドマーケル『狩人』 次々と仕留められる鳥獣たち ハイドンのオラトリオ『四季』の9回目、第3部『秋』の続きです。 今回の場面は、狩りです。 秋の風物詩であり、貴族たちの恒例行事ですから、数々の作曲家が音楽にしています。 ホルンはもともと、狩り…

都会の恋より村の恋。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第21~22曲〝愛のデュエット〟

ピーテル・ブリューゲル『穀物の収穫』 幸せいっぱいの秋の村 ハイドンのオラトリオ『四季』の8回目、第3部『秋』の続きです。 豊作の喜びにわく村。忙しく働く大人たちだけでなく、子供たちにもやることがあります。 第21曲のレツィタティーフでは、まず村…

「勤労の義務」を音楽にせよ?勤勉な作曲家がついたため息。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第19、20曲〝豊作の喜びと勤労賛歌〟

ミレー『落穂拾い』 豊作の秋がきた! ハイドンのオラトリオ『四季』の7回目、今回から第3部『秋』に移ります。 『秋』には、ネガティブな場面は一切なく、「収穫の季節」の喜びに満ちています。 序奏には『豊作への農民の喜びの感情』と但し書きがつけられ…

ベートーヴェンが師を超えようとした場面。ハイドン:オラトリオ『四季』より第2部『夏』第16~18曲〝嵐の襲来〟

クロード・ジョセフ・ヴェルネ『嵐』 嵐の前の静けさ、そして襲来 ハイドンのオラトリオ『四季』の6回目、第2部『夏』の最終回です。 蒸し暑い夏の午後、山に湧いた霧が、みるみる黒雲となり、気づかないうちに空いっぱいに広がってきます。 さっきまで暑さ…

灼熱の太陽から逃れ、さわやかな森で心身のリフレッシュ!ハイドン:オラトリオ『四季』より第2部『夏』第12~15曲〝日照りと暗い森〟

牙をむく真夏の太陽 ハイドンのオラトリオ『四季』の5回目、第2部『夏』の続きです。 前回、夜明けに荘厳に昇り、いのちのみなもとと讃えられた真夏の太陽は、中天に向かうにつれ、その威力が逆に生きとし生けるものを圧迫しはじめます。 まさに大自然の恵み…

暗闇をやぶる鶏鳴、赤く染まる東の空。朝の来ない夜はない。ハイドン:オラトリオ『四季』より第2部『夏』第9~11曲〝夜明け〟

さわやかな夏の夜明け ハイドンのオラトリオ『四季』の4回目、第2部『夏』に移ります。 『夏』は、夜明けからはじまります。 朝まだき、闇に包まれた村。みな眠っています。 音楽は、ハ短調の暗い序奏から始まります。 ルーカスが、静かに語りはじめ、だんだ…

咲き誇る花々、目にまぶしい新緑、そして躍動する生命たち!音楽による春爛漫の絵巻物。ハイドン:オラトリオ『四季』より第1部『春』第7~8曲〝喜びの歌〟

ブーシェ『春』 まさに職人芸!音楽による生き物の描写 ハイドンのオラトリオ『四季』の3回目、第1部『春』のしめくくりです。 ついに、待ちに待った春爛漫の季節が訪れます。 自然界は鮮やかな色彩と生命の輝きにあふれ、それに包まれた人々の心は喜びでい…

〝交響曲の父〟はなぜ怒ったか。ハイドン:オラトリオ『四季』より第1部『春』第3~6曲〝種まきの歌〟

ミレー『種まく人』 自分のヒット曲で〝つかみはOK〟 ハイドンのオラトリオ『四季』の2回目です。 いよいよ春がやってきて、畑から雪が消えます。 農夫のシモンは、さあ、1年の仕事始めだ、とばかり、張り切って農具を担いで畑に出ていき、鋤で土を起こし、…

クラシックのもうひとつの〝四季〟。ハイドン:オラトリオ『四季』より第1部『春』第1~2曲〝春よ、来い〟

ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809) もうひとつの〝四季〟 前回まで、ほとんど知らぬ人とてないポピュラーなヴィヴァルディの『四季』を聴きましたが、クラシックの曲目には、もうひとつの偉大な〝四季〟があります。 それは、ハイドンのオラトリオ『四季』で…

バッハによる年越し、力強いフィナーレ。『クリスマス・オラトリオ 第6部』(6)

東方三博士の礼拝 顕現節とは きょう1月6日は、キリスト教では『顕現節』『顕現日』『公現祭』などと呼ばれる祝日です。 前項で触れたように、幼子イエスを東方三博士が礼拝したことを記念しています。 この日をもって、クリスマス以来、キリスト教でのイエ…

星に導かれた、謎の東方三博士。バッハ『クリスマス・オラトリオ 第5部』(5)

ケルン大聖堂にある東方三博士の金棺 バッハの『クリスマス・オラトリオ』全6部を、実際に演奏された教会暦にしたがって聴くシリーズの5回目です。第5部は、新年第1日曜日用ですが、1月6日までに該当する日曜がなければ、その間のどの日かで演奏されま…

新春おすすめクラシック『ラデツキー行進曲』『ワルツ:美しき青きドナウ』ほか & バッハ『クリスマス・オラトリオ 第4部』(4)

ヨハン・シュトラウス二世記念像(ウィーン) 新年あけましておめでとうございます! クラシックのおすすめと歴史をご紹介するブログ、のつもりが、やはりと言うか、ただのmy favoritesになってしまってますけれど、今年もどうかよろしくお願いします。 まず…

聖母マリアの心のうち。バッハ『クリスマス・オラトリオ 第3部』(3)

バッハの『クリスマス・オラトリオ』全6部を、実際に演奏された教会暦にしたがって聴いていきます。きょう12月27日は、第3部の日です。 ちょうどその日に聴けばご利益がある、ということだといいですが、キリスト教はそういうものじゃないでしょうね。…

どこまでも優しい子守歌。バッハ『クリスマス・オラトリオ 第2部』(2)

バッハの『クリスマス・オラトリオ』全6部を、実際に演奏された教会歴にしたがって聴いていきます。きょう12月26日は、第2部の日です。メサイアに描かれたのと同じ、『羊飼いの聖夜』を描きます。 クリスマス・イブの奇蹟ですが、演奏は26日なのです…

ティンパニとどろく、バッハのメリー・クリスマス!バッハ『クリスマス・オラトリオ 第1部』(1)

バッハが活躍、演奏したライプツィヒの聖トーマス教会内陣 Merry Christmas ! バッハのクリスマス音楽 12月は、クリスマスにちなんだ曲ということで、ヘンデルのオラトリオ『メサイア』を聴いてきましたが、メサイアは特にクリスマスのために作られた曲では…

クリスマスに響く、救いと希望のアーメン・コーラス。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳最終回(10)

ヘンデル『メサイア』の第3部全曲、第45曲から終曲の第53曲までを聴きます。これで、『メサイア』全曲の終幕です。 第1部では、メシア来臨の預言とイエスの降誕、第2部ではイエスの受難と復活、福音の伝道が描かれました。第3部では、救い主イエスへの信…

本当は怖い、ハレルヤ・コーラス。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(9) &『ルール・ブリタニア』

ヘンデル『メサイア』の第2部より、第37曲から第2部終曲の第44曲までを聴きます。 イエスがメシアとして来臨したのに、人々は嘲り、また危険視して十字架にかけます。しかし、その死は人間の罪を贖うものであって、すぐにイエスは復活し、天に迎えられます…

開かれる天国の門、迎える天使たち。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(8)

ヘンデル『メサイア』の第2部より、イエス受難のあと、復活への希望の部分、第32曲から第36曲までを聴きます。 ヘンデル『メサイア』HWV56 Handel : Messiah HWV56 エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダストレ Emmanuelle Haim & Le Concert D’Astree…

アイルランドに響いた受難の歌。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(7)

ヘンデル『メサイア』の第2部に入ります、第22曲から第31曲までを聴きます。 キリスト教の立場では、イエスこそ、旧約聖書に預言されたメシアでしたが、人間の罪を背負い十字架にかかることによって、人々を救うことになります。 そしてそのことも、驚くべ…

叫べ!歓呼せよ、エルサレムの娘よ。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(6)

エルサレムの第二神殿(ヘロデ神殿)の想像図。ローマ帝国によって破壊され「嘆きの壁」だけが残る。 ヘンデル『メサイア』の第1部より、第18曲から第1部終曲の第21曲までを聴きます。 救い主がこの世に来臨した喜びと希望でいっぱいの部分です。 ヘンデル…

羊飼いは見た!聖夜の奇蹟。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(5)

ヘンデル『メサイア』の第1部より、第13曲から第17曲までを聴きます。 クリスマス・イヴに草原で起きた奇蹟、有名な〝羊飼いの聖夜〟の描写です。 これまでの曲では、メシア来臨についての、旧約聖書の預言を綴ってきましたが、ここからは、新約聖書の物語…

ひとりのみどりごが私たちのために生まれた。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(4)

ヘンデル『メサイア』の第1部より、第8曲から第12曲までを聴きます。 イエス降誕のはるか以前に書かれた旧約聖書による、メシア誕生の預言の部分です。 ヘンデル『メサイア』HWV56 Handel : Messiah HWV56 エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダスト…

救世主来臨のお告げ。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(3)『降誕の預言』

死海文書の中のイザヤ書 それでは、ヘンデル『メサイア』の第1部より、第2曲から第7曲までを聴いていきます。 ヘンデル『メサイア』HWV56 Handel : Messiah HWV56 エマニュエル・アイム指揮ル・コンセール・ダストレ Emmanuelle Haim & Le Concert D’Astr…

ユダヤ教とキリスト教の違いとは。ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(2)

モーセと十戒の石板(レンブラント) 聖書そのままの歌詞 『メサイア』は、ヘンデルのオラトリオの中でも特異な存在で、聖書の文言(聖句)が、基本的にはそのまま歌詞になっています。 聖書の言葉をそのまま引用し、つなぎ合わせることによって、イエスがメ…

年末と言えば、第九? それとも? ヘンデル:オラトリオ『メサイア』あらすじと対訳(1)『序曲』

ベガーズ・オペラ(乞食オペラ) 年末と言えば、第九? それとも・・・ 街もクリスマスモードとなり、いよいよ年も押しせまってきました。 クラシックで年末、といえば〝第九〟ですが、それは主に日本での話で、欧米では年末、あるいはクリスマスの曲といえば、…