結婚式や披露宴で流される定番クラシックは多いですが、もちろん編曲されたものなので、当時の楽器で演奏されたオリジナルの響きもぜひ!
聴き飽きた、という人も多いかもしれませんが…。
定番中の定番といえば、『パッヘルベルのカノン』。
これは、何度聴いても癒されますね。
作曲したヨハン・パッヘルベルは、バロック期のドイツの作曲家ですが、1653年生まれ、1706死去ですので、1678-1741のヴィヴァルディよりも古い人です。ちなみにバッハとヘンデルは同い年で、1685年生まれです。
オルガンの奏者、作曲家として活躍し、音楽史上では重要な人なのですが、一般的に聴かれるのはこの『カノン』だけです。それなのに、クラシックの中でも知らない人はいない大ヒット曲になっているのは、まるで〝一発屋〟みたいです 笑
名前もどこか可愛いですね。
この曲の正式名称は『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』です。
カノン様式は、いわば〝輪唱〟で、〝カエルの歌が聞こえてくるよ〟のように同じメロディが2小節ズレて演奏され、これが何ともいえず心に沁みてくる効果があるのです。
〝通奏低音〟は、〝コンティヌオ〟と言ってバロック期の伴奏で、楽器はチェンバロがメインですが、チェロ、コントラバスを伴ったり、オルガンやリュート、ギターが使われたりすることもあります。
楽譜には低音部しか書いていないので、演奏者が適切な和音を加えていくため、演奏によって趣きがかなり違ってきますが、それも色々な演奏を聴き比べる楽しみの一つです。
原曲ではカノンとジーグがセットになっていますが、『ジーグ』はダンス音楽の一種です。
しかし、一般の演奏ではジーグはカットされることが多いですね。
では原曲を、いつものピノック&イングリッシュコンサートの演奏でお聴きください。
Johann Pachelbel『Canon and Gigue in D major』
演奏:トレヴァー・ピノック(指揮)イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock & The English Concert
カノン
結婚式で流れる演奏は情緒豊かで繊細なのに比べ、古楽器の演奏は粗削りに聞こえるかもしれませんが、楽器ひとつひとつがはっきり独立して聞こえるので、よりストレートに曲の魅力が伝わってくるのではないでしょうか。
私はこの曲を聴くと、結婚式では縁起でもないですが、〝別れ〟をイメージしてしまうのです。人と人が出会い、そして別れていく…。〝サヨナラダケガ人生ダ〟という詩を想い出しながら、感慨に浸っています。
中学生のとき、『遠い日の歌』という合唱曲の楽譜に〝パッヘルベルのカノンより〟と書いてあり、この曲を知りました。
またキャンプファイヤーの前には、ドヴォルザークの『新世界より』を元にした『遠き山に日は落ちて』を歌いましたが、クラシックをアレンジして歌にするとき、日本人は〝遠い〟〝はるかなる〟といったイメージを抱くのでしょうか。
中学校の音楽室は〝遠い日〟の思い出となりました。
こちらの演奏もおすすめです。
ラインハルト・ゲーベル指揮ムジカ・アンティクワ・ケルン
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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