ブランデンブルク・コンチェルト第2番の独奏楽器群は、トランペット、リコーダー、オーボエ、ヴァイオリンです。高音域の楽器だけそろえた、というのも異色ですが、なんといってもトランペットが主役です。
トランペットは、天使が吹く神聖な楽器であり、技術も伴うことから、楽器の中では別格でした。
教会では神の栄光をたたえ、宮廷では王の威光を知らしめ、軍隊では進軍ラッパとして士気を鼓舞し、勝敗まで左右することもあるのですから、トランペット奏者は給料も格段高かったのです。
ただ、難しさで言えば、古楽器ではトランペットのみならず、ホルンやフルートにも現代楽器のキーがついていないので、音程は演奏者の手加減、口加減で出すことになり、正確な音を出し続ける困難さは、現代楽器の比ではありません。
古楽器の音色は、演奏者のそんな努力の賜物でもあるのです。
Brandenburg Concerto no.2 in F major , BWV1047
演奏:トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock & The English Concert
第1楽章 (速度表記なし)
トランペットの華やかな音色で、賑やかにはじまります。リコーダーの控えめで可愛い歌もこの曲の大きな魅力のひとつです。ソロ楽器の動きは自由で、それぞれの味の違いがよくわかります。
私はこの曲を現代楽器のコンサートで聴いたのですが、現代のトランペットは音が大きすぎ、リコーダーの音などは脇役どころか完全にかき消されてしまって、だめだこりゃ、と思いました。
現代楽器で、トランペットとリコーダーを対等にからませるのは不可能ですので、この曲は古楽器でしか演奏してはいけない、くらいに思います。
第2楽章 アンダンテ
とはいえ、トランペットが比較的に大きな音なのは古い楽器も同じですから、しっとりとした第2楽章ではトランペットはお休みです。オーボエ、リコーダー、ヴァイオリンが、叙情豊かに、寄せてはかえす波のように、同じ音型を繰り返し歌いついでいきます。
第3楽章 アレグロ・アッサイ
復活したトランペットが華やかにスタートを告げ、独奏楽器群が中心となってバッハ得意のフーガを繰り広げます。トゥッティはここでは完全に盛り上げ役となって、独奏楽器群を和音で支えています。終わりのトランペットの余韻は、心の中にずっと響いているような気がします。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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