
ブランデンブルク・コンチェルト第4番は、全曲中、私の一番のお気に入りです。
ここでの主役は、2本のリコーダー。第3番が男性的とすれば、この曲は女性的な優しさにあふれています。あとのソロ楽器はヴァイオリンで、すごい活躍を見せます。
Brandenburg Concerto no.4 , G major , BWV1049
演奏:トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock & The English Concert
冒頭から、春の訪れを告げるかのようなリコーダーの可愛い音色からはじまり、ヴァイオリンがそれを受け、おとぎ話のような世界を繰り広げます。ヴァイオリン・コンチェルトといってもいいくらいでしょう。明るく、幸せな気分にひたれる楽章です。
第2楽章 アンダンテ
トゥッティとソーリが同じメロディを呼び交わすさまは、まるで深山に響くやまびこのようです。ここでのリコーダーパートは、他の楽器には絶対に置き換えられないくらい、ぴったりしています。今では小学生の楽器ですが、本当はこんなに深いを感動を与える実力をもっているのです。
第3楽章 プレスト
曲集中、最高の楽章です。先にご紹介した、チェンバロ協奏曲第4番イ長調の第3楽章と並んで、私がバッハの中でも最も好きな楽章です。
バッハ得意のフーガが、ヴィヴァルディ的なリトルネッロと巧みに組み合わされて、至高の世界に導いてくれます。
途中のヴァイオリンの名人芸にも下を巻きますし、終わり近く、全員で心を合わせて奏でる3回の和音には、体がしびれるほど感動します。
私は、この曲を聴くと〝未来への希望〟を強く感じ、ワクワクとし、やる気が湧いてくるのです。
大学の授業の思い出
大学時代、『音楽史概論』という講義がありました。
教授は作曲家で、出席や成績などにこだわりはなく、テストだけクリアすれば単位はもらえるという、〝楽勝〟科目ということで人気がありました。笑
その代わり授業は、ひたすらグレゴリオ聖歌を流すなど、退屈で死にそう、という評判でした。
この講義は〝音楽の歴史〟で、単旋律(モノフォニー)のグレゴリオ聖歌から、和音のあるポリフォニーやホモフォニーに発展していく経過をたどるもので、バッハがゴールでした。
バッハはクラシックの元祖くらいに思っていた私にとっては、バッハが終着点とは、目からウロコのとても興味深い内容だったのです。
和音のないグレゴリオ聖歌にも深い味わいがあり、中世、ルネサンスと、だんだん和音の色彩が加わっていく過程は川の流れをたどるようで、毎回興奮しました。
そして、最後にたどりつくバッハの強烈な迫力。
音楽、ここに極まれり、という思いがしました。
教授の到達すべき頂上は〝マタイ受難曲〟なのですが、その前に、バッハの小品の紹介があり、その1曲が、このブランデンブルク・コンチェルト第4番の第3楽章でした。
ちょうどその日は、講義が終わったらサークルのコンパがある日で、早く授業終わらないかな~と思っていたのですが、これから楽しいことが待っている、という思いと、この曲はぴったりマッチして、今でも懐かしく思い出すのです。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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