孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

モーツァルトのメガ・ヒット曲。モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』あらすじと対訳(7)『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』

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フィガロのアリア『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』

スザンナの浮気現場を押さえたと思ったアルマヴィーヴァ伯爵フィガロに見せて結婚をぶち壊してやろうとしますが、スザンナは開き直ります。

伯爵は、なんだ、罪を犯したのに平気なのか?となじりますが、スザンナは、ケルビーノ伯爵夫人への取りなしを頼みに来たんです、と堂々と答えます。

伯爵は、スザンナを口説いているのを全部ケルビーノに聞かれていたことに気づき、また激高。

ケルビーノは『聞かないようにしてました』と下手な言い訳。

そうこうするうち、バジリオが、お静かに、人が来ます!と叫びます。

フィガロが、村人たちを連れてやってきたのです。

村人たちは、伯爵を讃えて歌います。

第8曲 村人たちの合唱『娘たちよ、花を撒け』

村人たち

娘たちよ、喜びに満ちて花を撒け、気高いご主君の前に

その偉大なお心は、美しい花の聖なる純潔を、無垢のままにしてくださる

これはフィガロの策略で、村人たちに初夜権を廃止した伯爵を讃えさせ、取り消すことのできないようにしたのです。

レチタティーヴォ

伯爵

なんだ、この芝居は?

フィガロ

ご領主様、なにとぞ私たちの心を込めた捧げものをお受け取りください

恋人たちが恐れていたあの権利を廃止していただいたことにより・・・

伯爵

あの権利はもはや存在しない!

だから何だ?

フィガロ

そのご英断の最初の果実をきょう、私どもがいただくのです

なにとぞ、お恵みで純潔なままの彼女に、そのしるしとしてこの純白のベールを直々に着せていただきたきますよう

伯爵(傍白)

謀ったな!

伯爵

ありがとう、皆の者。気持ちに感謝する

しかし、私は贈り物や賛美の言葉を受ける資格はない

あのような良からぬ特権を廃止するのは当然のことだからだ

一同

ばんざい! ばんざい! ばんざい!

スザンナ(嫌味っぽく)

なんという気高いお心!

フィガロ

なんという正義!

伯爵

しかし、式を挙げるのは少し待ってほしい

出来る限り盛大にやりたいから、準備が必要だ

傍白(マルチェリーナはどこだ?)

では一同、行きたまえ!

(合唱繰り返し)

フィガロは、伯爵に初夜権の廃止を確認させることができましたが、伯爵に式を延期され、時間稼ぎをさせられてしまいました。伯爵は、その間にマルチェリーナに訴訟を起こさせようと考え、そうとは知らないフィガロも次の策を考えています。

その前に、ケルビーノの処分があります。

一同、ケルビーノを許してもらうよう、伯爵に嘆願します。

渋っていた伯爵、いい手を思いついて告げます。

ケルビーノを許す代わりに、連隊の将校に任命する、というのです。

そして、連隊本部のあるセビリアにいますぐ出発せよ、と命じます。

栄転に見えて、結局のところ追放です。

ケルビーノは首よりマシなので、しょんぼりしながら辞令を受けます。

フィガロは、ケルビーノを使った策を考えていたので、あとで話がある、と小声で伝えたあと、伯爵の前で、ケルビーノをからかい半分に励ます歌を歌います。

これが、このオペラで最も有名な曲、『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』です。

第9曲 フィガロのアリア『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』

フィガロ

もう飛べないぞ、恋の蝶々よ

昼も夜もうろついては、女たちを悩ませていた恋のナルシス、アドーニスよ

もうかぶれないだろう、羽飾りつきの帽子も、

このカールも、きれいな衣装も、女のような化粧もできないぞ

兵隊たちにまじってがんばれよ!

髭はやして、背嚢しょって、鉄砲かついで、腰には剣

背筋を伸ばして、口を結んで

鉄兜にターバン、名誉はあるが、金はない

ダンスを踊る代わりに、泥の中を行進だ

山越え、谷越え、冬には雪、夏は酷暑

ラッパが鳴れば銃声砲声響き合い

乱れ飛ぶ銃弾は、耳にも妙な音楽だ

さあ進め、ケルビーノ!

軍人の勝利と栄光に向かって!

この曲の後奏は、行進曲となり、心が踊る絶大な効果を生みます。

このオペラがプラハで大ヒットしたとき、町じゅうの人々が口ずさんだのがこの曲でした。

次回作『ドン・ジョヴァンニ』でも、この曲を流し、登場人物に〝この曲はあまりにも有名だ〟などと言わせています。

そして、しょげるケルビーノの背を叩きながら、第1幕の幕が下りるのです。

 

次回は、第2幕です。

 

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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