孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

式さえ挙げればこっちのもの?モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』あらすじと対訳(18)『第3幕フィナーレ』

f:id:suganne:20171029184600j:plain

結婚式で、スザンナにヴェールをかぶせる伯爵。スザンナはこっそり伯爵に手紙を渡す。

フィガロの結婚』第3幕第13場

全員が固まってしまった場に、フィガロが飛び込んできて、結婚式を始めましょう、踊りを始めましょう!とせかします。

伯爵に、くじいた足で踊るのか、と言われても、もう治りました、とうそぶく。

ケルビーノがいることを示されて、ようやく事態の深刻さを悟ります。

が、ひたすら追及をかわし、ごまかしにごまかして、結婚式の音楽が聞こえてきたのをよいことに、強引に結婚式を始めます。

伯爵は怒り心頭ですが、伯爵夫人の手前、思い切った手段も取れず、しぶしぶ結婚式の席につきます。

第22曲 第3幕のフィナーレ

フィガロ

さあ、行進曲だ

行きましょう

みなさん、それぞれの位置についてください

スザンナ、腕を

スザンナ

どうぞ

(スザンナとフィガロ、腕を組む)

伯爵(傍白

ちくしょうめ!

伯爵夫人(傍白)

冷や汗が出たわ…

伯爵(伯爵夫人に)

伯爵夫人…

伯爵夫人

今は話さないでおきましょう

二組の結婚式が始まります

私たちは受け入れてあげなくては

あなたのお気に入りの子のことですしね

座りましょう

伯爵

座ろう

(傍白)そして、仕返しを考えよう

フィガロの結婚』第3幕第14場

いよいよ結婚式の場です。花嫁、花婿の衣装を着た二組のカップルが、着飾った村人たちに迎えられます。

この場面は、映画『アマデウス』でもひとつのクライマックスで、ここでつけられたバレエを、勅令違反だといちゃもんをつけた音楽監督にカットされたモーツァルトが激高します。結局、バレエを禁止したはずの皇帝ヨーゼフ2世がリハーサルに現れ、音楽がついていないのはおかしい、と言って音楽が復活した、という一幕があります。

フィガロ』の上演が様々な陰謀によって邪魔されたことを示すエピソードです。

音楽は切れ目なく続きます。

二人の農民の娘

心変わらぬ恋人たち

かくも賢明なご領主を歌い讃えなさい

人を辱め傷つける権利をお捨てになって

ご領主は花嫁を無垢のまま

愛する人のもとに送られる

一同

かくも賢明なご領主を歌い讃えましょう

(スザンナは伯爵の前に進み出て、伯爵はスザンナの頭に、純潔を示す純白のヴェールを被せる。その間、スザンナはそっと伯爵に手紙を渡す。フィガロはスザンナとファンダンゴを踊る。伯爵はこっそりと手紙を読むが、その際、封印してあったピンで指を刺す。)

伯爵(独白)

ああ、いつも女どもはどこにでもピンを差す

ははぁ、意味は分かったぞ

フィガロ(伯爵が指を刺すしぐさを見ていて、スザンナに)

どこかの色女が、伯爵に恋文を渡したらしいぞ

ピンで封がしてあったので、伯爵は指を刺した

あのナルシスには驚いたね

(踊りが終わって)

伯爵(一同に)

みなの者、行きなさい

今晩のために、できるだけ盛大な披露宴の支度をさせよう

歌に踊り、ごちそう、花火、舞踏会を用意しよう

私が大事に思う者に、どんなもてなしをするか、見るがよい

一同

心変わらぬ恋人たち

かくも賢明なご領主を歌い讃えなさい

人を辱め傷つける権利をお捨てになって

ご領主は花嫁を無垢のまま

愛する人のもとに送られる

かくも賢明なご領主を歌い讃えましょう

(第3幕 幕)

こうして、めでたくフィガロの結婚式は成就します。

しかし、伯爵に改心させるという、伯爵夫人の宿題が残っています。

それが、新婚のふたりに思わぬ波乱を及ぼしますが、それは次回に。

 

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

Apple Musicで聴く


にほんブログ村


クラシックランキング