
結婚式で、スザンナにヴェールをかぶせる伯爵。スザンナはこっそり伯爵に手紙を渡す。
全員が固まってしまった場に、フィガロが飛び込んできて、結婚式を始めましょう、踊りを始めましょう!とせかします。
伯爵に、くじいた足で踊るのか、と言われても、もう治りました、とうそぶく。
ケルビーノがいることを示されて、ようやく事態の深刻さを悟ります。
が、ひたすら追及をかわし、ごまかしにごまかして、結婚式の音楽が聞こえてきたのをよいことに、強引に結婚式を始めます。
伯爵は怒り心頭ですが、伯爵夫人の手前、思い切った手段も取れず、しぶしぶ結婚式の席につきます。
第22曲 第3幕のフィナーレ
フィガロ
さあ、行進曲だ。行きましょう。
みなさん、それぞれの位置についてください。
スザンナ、腕を。
スザンナ
どうぞ。
(スザンナとフィガロ、腕を組む)
伯爵(傍白)
ちくしょうめ!
伯爵夫人(傍白)
冷や汗が出たわ…
伯爵(伯爵夫人に)
伯爵夫人…
伯爵夫人
今は話さないでおきましょう。
二組の結婚式が始まります。
私たちは受け入れてあげなくては。
あなたのお気に入りの子のことですしね。
座りましょう。
伯爵
座ろう。
(傍白)そして、仕返しを考えよう。
いよいよ結婚式の場です。花嫁、花婿の衣装を着た二組のカップルが、着飾った村人たちに迎えられます。
この場面は、映画『アマデウス』でもひとつのクライマックスで、ここでつけられたバレエを、勅令違反だといちゃもんをつけた音楽監督にカットされたモーツァルトが激高します。結局、バレエを禁止したはずの皇帝ヨーゼフ2世がリハーサルに現れ、音楽がついていないのはおかしい、と言って音楽が復活した、という一幕があります。
『フィガロ』の上演が様々な陰謀によって邪魔されたことを示すエピソードです。
音楽は切れ目なく続きます。
二人の農民の娘
心変わらぬ恋人たち
かくも賢明なご領主を歌い讃えなさい
人を辱め傷つける権利をお捨てになって
ご領主は花嫁を無垢のまま
愛する人のもとに送られる
一同
かくも賢明なご領主を歌い讃えましょう。
(スザンナは伯爵の前に進み出て、伯爵はスザンナの頭に、純潔を示す純白のヴェールを被せる。その間、スザンナはそっと伯爵に手紙を渡す。フィガロはスザンナとファンダンゴを踊る。伯爵はこっそりと手紙を読むが、その際、封印してあったピンで指を刺す。)
伯爵(独白)
ああ、いつも女どもはどこにでもピンを差す。
ははぁ、意味は分かったぞ。
フィガロ(伯爵が指を刺すしぐさを見ていて、スザンナに)
どこかの色女が、伯爵に恋文を渡したらしいぞ。
ピンで封がしてあったので、伯爵は指を刺した。
あのナルシスには驚いたね。
(踊りが終わって)
伯爵(一同に)
みなの者、行きなさい。
今晩のために、できるだけ盛大な披露宴の支度をさせよう。
歌に踊り、ごちそう、花火、舞踏会を用意しよう。
私が大事に思う者に、どんなもてなしをするか、見るがよい。
一同
心変わらぬ恋人たち
かくも賢明なご領主を歌い讃えなさい
人を辱め傷つける権利をお捨てになって
ご領主は花嫁を無垢のまま
愛する人のもとに送られる
かくも賢明なご領主を歌い讃えましょう。
(第3幕 幕)
こうして、めでたくフィガロの結婚式は成就します。
しかし、伯爵に改心させるという、伯爵夫人の宿題が残っています。
それが、新婚のふたりに思わぬ波乱を及ぼしますが、それは次回に。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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