孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

放蕩男と魔性の女の歌合戦。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(7)『乾杯の歌』『ぶってよ、マゼット』

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乾杯の歌

モーツァルトドン・ジョヴァンニ』第1幕 第15場

ドン・ジョヴァンニの獲物、新婦のツェルリーナを新郎マゼットから引き離す役目を仰せつかったレポレロ

ヘトヘトになって道を歩いていると、ドン・ジョヴァンニに出会います。

首尾はどうだ?と聞かれ、どうもこうも、万事最悪ですよ、とレポレロ。

彼は、マゼットと村人たちを言いつけ通りドン・ジョヴァンニ邸に連れていき、酒やご馳走をふるまい、不機嫌なマゼットの相手をしながら、なんとか場を盛り上げたのです。

『上出来じゃないか!』とほめるドン・ジョヴァンニ

『でも、そこに誰が来たと思います?』とレポレロ。

『ツェルリーナだろう!』

『ご名答!で・・・』

『ドンナ・エルヴィーラもだ!』

『ご名答!』

『で、いろいろわめいていただろう?』

『まさにご名答!』

レポレロは、騒ぐドンナ・エルヴィーラをなだめすかしながら、うまく外に出して門にカギをかけてしまった、と報告します。

これを聞いたドン・ジョヴァンニは、レポレロの神対応に満足し、上機嫌になって、よーし、大宴会を開くぞ!村娘もたくさんいることだしな!と、歌い始めます。

どこまでもポジティブな男です。

その、ドン・ジョヴァンニの性格を表す真骨頂が、この『乾杯の歌』です。『シャンパンの歌』とも呼ばれますが、歌詞では〝vino〟ですので、『ワインの歌』あるいは『酒の歌』と訳す方が正確でしょうね。

第11曲 ドン・ジョヴァンニのアリア『乾杯の歌』

ドン・ジョヴァンニ

酒で頭がおかしくなるような大宴会を準備せよ。

街の広場に女の子たちを見つけたら連れて来い。

何でもいいから踊らせろ。

メヌエットだろうと、ラ・フォリアだろうと、ドイツ・ダンスだろうと。

俺はその間、この女、あの女と恋をしたいのだ。

ああ、俺のリストには、明日の朝には10人の女が加わることになる。

(退場)

一晩で10人もの女性を相手にするぞ、とうそぶくドン・ジョヴァンニに、レポレロは、やれやれ、といった風でついていきます。

ドン・ジョヴァンニ』第1幕 第16場

場面は変わって、そのドン・ジョヴァンニ邸。

マゼットがツェルリーナに対し、プリプリ怒っています。

なぜって?

そりゃそうでしょう!

よりにもよって、結婚式当日に、他の男にフラフラついていく花嫁なんか、前代未聞です。

マゼットは新妻に『けがれた手で俺に触るな!』と当然な激怒。

ツェルリーナは『私だってだまされたのよ。でも信じて、あの人は私に指一本触ってないわ。』と一生懸命、言い訳します。

ツェルリーナが、一度はドン・ジョヴァンニにイエス、と言ってしまったことは、神のみぞ知る、観客のみぞ知る、です。

それで、ツェルリーナがマゼットと仲直りするために歌うのが、世にもコケットな色気に満ちたアリア『ぶってよ、マゼット』です。

第12曲 ツェルリーナのアリア『ぶってよ、マゼット』

ツェルリーナ

ぶってよ、ぶって、私のマゼット。

あなたの哀れなツェルリーナを。

私はここで子羊のように、おとなしくムチ打たれるわ。

髪の毛をむしってもいい、目玉をくり抜いてもいいの。

それでも、あなたのいとしい手にキスするわ。

ああ、どうしてそんなに頑固なの?

機嫌を直して、仲直りしてよ。

そして、夜も昼も仲良くしましょう。

そう、夜も昼も!

どこまでも甘く、可愛く、コケティッシュに歌います。ちょっとM的な官能も漂い、チェロのオブリガートが夢心地にさせてくれます。

これを歌われて、許さない男がいるでしょうか。

自分の魅力を十分に自覚しているツェルリーナは、計算づくでやっていますし、マゼットもそれは頭では分かっていて、歌が終わると客席に向かって『皆さん、ご覧になりましたよね?魔性の女が男を手玉にとるところを。』と照れくさそうに言います。

特に魔性の女でなくとも、この程度のことは普通の女性でもできるでしょうけど。笑

 

大好きな曲なので、ドロットニングホルム宮廷劇場版とジュリーニ版のふたつも掲げておきます。

歌(ソプラノ):バーバラ・ボニー

歌(ソプラノ):グラティエラ・シュッティ

さて、いったんは機嫌を直したマゼットですが、ここはまだ危険なドン・ジョヴァンニ邸。

さらなる波乱が待っています。

 

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