孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

モーツァルト

サリエリが嫉妬した神の声。モーツァルト『13管楽器のためのセレナード 変ロ長調 K.361(370a)〝グラン・パルティータ〟』

謎の大曲 前回まで、皇帝ヨーゼフ2世の肝いりでウィーンで大流行した管楽器のバンド〝ハルモニームジーク〟の曲を2曲聴きましたが、モーツァルトにはさらに、標準的な8人の編成を拡大した大曲があります。全7楽章で、演奏時間は50分以上になります。 そ…

華やかな夜会に響く、悪魔的な音楽。アマデウスの光と影(14)モーツァルト『セレナード 第12番 ハ短調 K.388〝ナハトムジーク〟』

異例の短調セレナード 前回のセレナード 変ホ長調 K.375と対で親しまれているのが、このセレナード 第12番 ハ短調 K.388〝ナハトムジーク〟です。 この曲も、前回の明るく楽しい曲とは対照的に、悲劇的に始まります。 あまりに雰囲気が違ってシリアスなので…

ブラスバンドのサプライズ!アマデウスの光と影(13)モーツァルト『セレナード 第11番 変ホ長調 K.375』

夜の愉しみ、セレナード アマデウスの光と影シリーズ、最後のペアは管楽セレナードです。 〝セレナード〟はフランス語読みで、日本語訳では〝小夜曲〟と訳しますが、、ドイツ語ではセレナーデ、イタリア語ではセレナータ、と呼ばれます。 もともとは夜、恋人…

死への想念か、切ない恋の情念か。アマデウスの光と影(12)モーツァルト『ロンド イ短調 K.511』

モーツァルトが考える死とは モーツァルトのピアノ作品をしばらく聴いてきましたが、影ということでは、最後に挙げたい曲があります。 ロンド イ短調 K.511。短い小品ですが、私の愛してやまない曲です。 夏の太陽がまぶしく輝くこれからの季節にはちょっと…

ケッヘル番号の秘密。アマデウスの光と影(11)モーツァルト『ピアノ・ソナタ 第16番(旧第15番) ハ長調 K.545〝ソナチネ〟』

ルートヴィヒ・フォン・ケッヘル(1800-1877) ややこしい通し番号・・・ 前回の第14番 ハ短調 K.457が、モーツァルトのピアノ・ソナタの最高峰であり、内容の濃さ、深さ、ここに極まれり、といった感じですが、それと対照的なソナタが、4年後に創られます…

ピアノによる哀しくも美しいドラマ。アマデウスの光と影(10)モーツァルト『ファンタジー ハ短調 & ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調』

ウィーン・ブルク庭園のモーツァルト像 モーツァルトの記念碑的ピアノ・ソナタ モーツァルトには珍しい、短調の暗い曲と、バランスをとるかのような明るい曲を聴いていますが、ピアノ・ソナタの短調曲は、シンフォニーと同様、2曲だけです。 1曲は先に取り…

下ネタ好きの天才。アマデウスの光と影(9)モーツァルト『ピアノ・ソナタ 第9番 ニ長調 K.311』

ベーズレ(マリア・アンナ・テークラ・モーツァルト)(1758-1841) モーツァルトのスカトロジー マンハイム・パリ旅行の途中で作られた3曲のピアノ・ソナタの最後の曲は、第9番 ニ長調 K.311と3曲セットで出版されています。 とても楽しく、充実した素敵…

モーツァルトのピアノレッスンとは。 アマデウスの光と影(8)モーツァルト『ピアノ・ソナタ 第7番 ハ長調 K.309』

要人の令嬢のために 前回の第8番 イ短調ソナタ K.310は、第7番 ハ長調 K.309、第9番 ニ長調 K.311と3曲セットで出版されています。 例によって、明暗の対比が素晴らしいセットです。 いずれも、マンハイム・パリ旅行の途上で作られたので、故郷ザルツブルク…

ピアノ職人シュタインとの出会いと、母との別れ。アマデウスの光と影(7)モーツァルト『ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K.310』

短調のピアノ・ソナタ しばらく、業務多忙なのと、Web上のApple Musicのプレイヤーが、これまで使っていた日本版が新しく生成できなくなったのとでお休みしておりましたが、そろそろ再開しようと思います。プレイヤーはとりあえず米国版を使いますが、会員で…

若きモーツァルトの青春の輝き。アマデウスの光と影(6)モーツァルト『交響曲 第29番 イ長調』

ザルツブルク・モーツァルトの生家 モーツァルトの自信作 前回取り上げたモーツァルトの〝小ト短調〟と必ず明・暗のカップリングにされるのがこのシンフォニー 第29番 イ長調 K.201(186a)です。 有名な小ト短調とセットということもありますが、この時期のモ…

サリエリはモーツァルトを殺したか。アマデウスの光と影(5)モーツァルト『交響曲 第25番 ト短調』

アントニオ・サリエリ(1750-1825) アマデウスのテーマ ダークサイドのモーツァルトとして最も有名な曲が、このシンフォニー 第25番 ト短調 K.183(173dB)です。 モーツァルトが17歳のときにザルツブルクで作曲したシンフォニーで、モーツァルトの中でたっ…

天翔けるピアノと弦。アマデウスの光と影(4)モーツァルト『ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調』

アルターリア社による初版譜 雄大で、力強く モーツァルトの明&暗2曲セット、ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 K.478の相方は、第2番 変ホ長調 K.493です。 前回のト短調が難し過ぎる、と出版者ホフマイスターから苦情を言われたため、2曲目のこの曲は版刻ま…

アマチュアには難しすぎた曲。アマデウスの光と影(3)モーツァルト『ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調』

珍しいピアノ・カルテット モーツァルトの明&暗2曲セット、弦楽五重奏曲の次はピアノ四重奏曲です。第1番 ト短調 K.478と第2番 変ホ長調 K.493のカップリングです。 ありそうな編成の曲ですが、モーツァルトにはこの2曲しかなく、ハイドンには1曲もあ…

たった5人で奏でる、シンフォニックなハーモニー。アマデウスの光と影(2)モーツァルト『弦楽五重奏曲 第3番 ハ長調』

室内楽の〝ジュピター〟 前回からモーツァルトの明暗2曲セットを聴いていますが、弦楽五重奏曲 ト短調 K.516の相方は、ハ長調 K.515です。 ちょうど、シンフォニーの第40番ト短調と第41番ハ長調〝ジュピター〟と同じ組み合わせです。 モーツァルトは、この…

モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。アマデウスの光と影(1)モーツァルト『弦楽五重奏曲 第4番 ト短調』

アマデウスの光と影 モーツァルトの〝3大シンフォニー〟を聴いてきましたが、特に最後の第40番ト短調と、第41番ハ長調〝ジュピター〟は、その明暗の対比の強烈さに圧倒されます。 全く違う性格の曲に見えて、その構成は密接に関連づけされている、というの…

まさに〝神〟の曲。モーツァルト『交響曲 第41番 ハ長調〝ジュピター〟』

アングル『ユピテルとテティス』 〝ジュピター〟との出会い体験 モーツァルトの〝3大シンフォニー〟の3曲目は、モーツァルトの最後のシンフォニーでもある、第41番ハ長調〝ジュピター〟です。 この曲は、第40番ト短調と並んで、モーツァルトの、いや、…

この世にこんなきれいな音楽が。モーツァルト『交響曲 第40番 ト短調』

ヨーゼフ・ランゲ作『鍵盤に手を置くモーツァルト』モーツァルトが失恋したアロイジアの夫ランゲが描き、妻コンスタンツェが「最もよく似た肖像画」と評した作品。 〝ト短調〟との出会い体験 モーツァルトの〝3大シンフォニー〟の2曲目は、第40番ト短調…

究極の〝3大シンフォニー〟モーツァルト『交響曲 第39番 変ホ長調』

究極の〝3大シンフォニー〟 ハイドンがロンドンで1791年から1795年にかけて演奏した12曲のシンフォニーを聴いてきましたが、それに先立ち、1788年夏にモーツァルトは3つのシンフォニーを完成させます。 これが、名曲中の名曲として名高い、モーツァルトの…

村上春樹『騎士団長殺し』と音楽。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』とリヒャルト・シュトラウス『薔薇の騎士』

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949) 村上春樹と音楽 私はノンフィクションが好きなので、あまり現代小説は読まないのですが、村上春樹氏が昨年久しぶりに出した長編小説『騎士団長殺し』は、一目見てモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』がテーマと分か…

遥かなる未来へ、大歌劇の幕が下りる。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(17)第2幕フィナーレ(後)

、 モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕第16場(終景) カットされた、締めの六重唱 主人公ドン・ジョヴァンニは、この世のものとも思われない恐ろしい音楽で地獄に堕ちました。 ウィーン版ではそれでおしまい、ですが、プラハ版では、いきなりまた楽…

オペラ史上最恐の場面、戦慄の地獄落ち。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(16)第2幕フィナーレ(中)

石像とドン・ジョヴァンニ モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕第15場 招かれし客、騎士長の石像あらわる 墓場で、自分が殺した騎士長の石像を見つけ、うちに飯を食いに来い、と、からかったドン・ジョヴァンニ。 招きに応じて、ついに石像が宴に現れ…

女に乾杯!美酒に乾杯!饗宴の中、亡霊の足音が近づく…。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(15)第2幕フィナーレ(前)

ドン・ジョヴァンニの舞台衣装 モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕第13場 BGMはライバルと自分の曲 このオペラも、いよいよ大詰めです。 ドン・ジョヴァンニは墓場で、自分が殺した騎士長の石像に出会い、戯れに晩餐に誘ったところ、『行く』と返…

殺した相手を晩餐に招待…。ホラーとコミカルの同時進行。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(14)『墓地の場』

『墓地の場』初期の舞台装置 モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕第11場 うなずき、しゃべる恐怖の石像 さて、みんなの大迷惑をよそに、ドン・ジョヴァンニは今夜もまた女遊びを続けていたようです。 時は深夜2時、場は墓場。たくさんの墓標や記念像…

愛は与えるもの。裏切られても、捨てられても、あの人のことが心配なのです。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(13)『ドンナ・エルヴィーラのアリア』

『ドン・ジョヴァンニ』ウィーン再演のポスター プラハに負けるな? 鶴の一声でウィーン再演 これまでも、オペラ『ドン・ジョヴァンニ』には、プラハでの初演版とウィーンでの再演版があるということに触れてきました。 ウィーンではいまいちの評判だった『…

いろんな思いが入り混じって、私の頭はめちゃくちゃだ。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(12)

皆に袋叩きにあうレポレロ モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第2幕 第7場 ドン・ジョヴァンニの服装を着せられ、ドン・ジョヴァンニのふりをして、ドンナ・エルヴィーラと一緒にいるレポレロはどうなったでしょうか。 恋は盲目、といいますが、エルヴィ…

男の薬は女性の胸?モーツァルトの粋な計らい。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(11)『薬屋のアリア』

マゼットに胸を触らせるツェルリーナ モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第2幕 第4場 自分が捨てた女ドンナ・エルヴィーラの侍女を狙って、従者レポレロに自分の服を着せて邪魔なエルヴィーラをデートに誘い出させ、その隙に侍女のいる窓に向かって、甘い…

一人の女だけ愛したら、他の女に悪いじゃないか。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(10)『ドン・ジョヴァンニのセレナーデ』

セレナーデを歌うドン・ジョヴァンニ モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第2幕 第1場 第1幕の最後で、新婦ツェルリーナを強引に手込めにしようとしたところ、騒がれてしまい、悪事の現行犯として群衆に追い詰められたドン・ジョヴァンニ。 もう逃げられ…

VIVA自由!モーツァルトとチェコ・ボヘミア抵抗の歴史。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(9)第1幕フィナーレ〈後半〉

ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593)『ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世』 モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕 第20場 場面は変わって、ドン・ジョヴァンニ邸の大広間。 豪華な装飾にシャンデリアが輝き、村人たちは、普段は入れない貴族の…

享楽と、陰謀と、復讐と。いま、狂宴が始まる。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(8)第1幕フィナーレ〈前半〉

『ドン・ジョヴァンニ』が初演された、プラハの現スタヴォフスケー劇場(エステート劇場) モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕 第16場 お色気を使って何とか、新郎マゼットのご機嫌を直すことに成功したツェルリーナですが、遠くからドン・ジョヴァン…

放蕩男と魔性の女の歌合戦。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』(7)『乾杯の歌』『ぶってよ、マゼット』

乾杯の歌 モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』第1幕 第15場 ドン・ジョヴァンニの獲物、新婦のツェルリーナを新郎マゼットから引き離す役目を仰せつかったレポレロ。 ヘトヘトになって道を歩いていると、ドン・ジョヴァンニに出会います。 首尾はどうだ?と…