孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

街の喧噪を逃れて田舎に行きたい!ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68『田園』より第1楽章『田舎に到着したときのほがらかな感情の目覚め』

『田園』を作曲するベートーヴェン 偉大なる〝田園交響楽〟 前回まで、ヴィヴァルディのコンチェルト集『四季』、ハイドンのオラトリオ『四季』と、季節の移り変わりを描いた標題音楽を聴いてきました。 そこには、大自然の素晴らしさと、その恵みと厳しさを…

過ぎ去った人生の春を取り戻すには。ハイドン:オラトリオ『四季』より第4部『冬』第37~39曲〝終曲〟

プッサン『人生の踊り』 四季こそ人生、というメタファー 今回はハイドンのオラトリオ『四季』の13回目、第4部『冬』のおわり、すなわち『四季』全曲のグランドフィナーレです。 霞がただよい、温かい空気に包まれて山野に草花が萌え、雪が消えた畑を農夫が…

外側はつややか、内側は無垢。乙女の胸のような亜麻布とは。ハイドン:オラトリオ『四季』より第4部『冬』第33~36曲〝糸紡ぎの歌〟〝メルヘン〟

フェリス『祖母の糸車』 〝ステイホーム〟の楽しみ ハイドンのオラトリオ『四季』の12回目、第4部『冬』の続きです。 前回、吹雪の中で道に迷い、日も暮れて絶望していた旅人が、遠くに人家の明かりを見つけます。 近づいて中を覗き、旅人が目にしたのは、暖…

冬は、北国ラップランドのほら穴からやってくる。ハイドン:オラトリオ『四季』より第4部『冬』第29~32曲〝冬の旅人〟

ピーテル・ブリューゲル『雪中の狩人』 ふたたび冬がやってきた ハイドンのオラトリオ『四季』の11回目、今回から第4部『冬』です。 『秋』で、盛大なワイン祭りがクライマックスで突然暗転するように締めくくられたあと、『冬』の陰鬱な序奏がはじまる場面…

待ちに待った新酒解禁!村人たちが歌う、千鳥足のフーガ。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第27~28曲〝ワイン祭り〟

ピーテル・ブリューゲル『聖マルティンのワイン祭り』 聖マルティンの祝日とは ハイドンのオラトリオ『四季』の10回目、第3部『秋』のフィナーレです。 『秋』の部は、収穫から始まり、恋、狩りと場面が次々と転換し、最後は盛大な宴会で締めくくられます。 …

響き渡る角笛、逃げる獣、追う猟犬、狩人の掛け声…音楽によるハンティング。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第23~26曲〝狩り〟

ベールドマーケル『狩人』 次々と仕留められる鳥獣たち ハイドンのオラトリオ『四季』の9回目、第3部『秋』の続きです。 今回の場面は、狩りです。 秋の風物詩であり、貴族たちの恒例行事ですから、数々の作曲家が音楽にしています。 ホルンはもともと、狩り…

都会の恋より村の恋。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第21~22曲〝愛のデュエット〟

ピーテル・ブリューゲル『穀物の収穫』 幸せいっぱいの秋の村 ハイドンのオラトリオ『四季』の8回目、第3部『秋』の続きです。 豊作の喜びにわく村。忙しく働く大人たちだけでなく、子供たちにもやることがあります。 第21曲のレツィタティーフでは、まず村…

「勤労の義務」を音楽にせよ?勤勉な作曲家がついたため息。ハイドン:オラトリオ『四季』より第3部『秋』第19、20曲〝豊作の喜びと勤労賛歌〟

ミレー『落穂拾い』 豊作の秋がきた! ハイドンのオラトリオ『四季』の7回目、今回から第3部『秋』に移ります。 『秋』には、ネガティブな場面は一切なく、「収穫の季節」の喜びに満ちています。 序奏には『豊作への農民の喜びの感情』と但し書きがつけられ…

ベートーヴェンが師を超えようとした場面。ハイドン:オラトリオ『四季』より第2部『夏』第16~18曲〝嵐の襲来〟

クロード・ジョセフ・ヴェルネ『嵐』 嵐の前の静けさ、そして襲来 ハイドンのオラトリオ『四季』の6回目、第2部『夏』の最終回です。 蒸し暑い夏の午後、山に湧いた霧が、みるみる黒雲となり、気づかないうちに空いっぱいに広がってきます。 さっきまで暑さ…

灼熱の太陽から逃れ、さわやかな森で心身のリフレッシュ!ハイドン:オラトリオ『四季』より第2部『夏』第12~15曲〝日照りと暗い森〟

牙をむく真夏の太陽 ハイドンのオラトリオ『四季』の5回目、第2部『夏』の続きです。 前回、夜明けに荘厳に昇り、いのちのみなもとと讃えられた真夏の太陽は、中天に向かうにつれ、その威力が逆に生きとし生けるものを圧迫しはじめます。 まさに大自然の恵み…

暗闇をやぶる鶏鳴、赤く染まる東の空。朝の来ない夜はない。ハイドン:オラトリオ『四季』より第2部『夏』第9~11曲〝夜明け〟

さわやかな夏の夜明け ハイドンのオラトリオ『四季』の4回目、第2部『夏』に移ります。 『夏』は、夜明けからはじまります。 朝まだき、闇に包まれた村。みな眠っています。 音楽は、ハ短調の暗い序奏から始まります。 ルーカスが、静かに語りはじめ、だんだ…

咲き誇る花々、目にまぶしい新緑、そして躍動する生命たち!音楽による春爛漫の絵巻物。ハイドン:オラトリオ『四季』より第1部『春』第7~8曲〝喜びの歌〟

ブーシェ『春』 まさに職人芸!音楽による生き物の描写 ハイドンのオラトリオ『四季』の3回目、第1部『春』のしめくくりです。 ついに、待ちに待った春爛漫の季節が訪れます。 自然界は鮮やかな色彩と生命の輝きにあふれ、それに包まれた人々の心は喜びでい…

〝交響曲の父〟はなぜ怒ったか。ハイドン:オラトリオ『四季』より第1部『春』第3~6曲〝種まきの歌〟

ミレー『種まく人』 自分のヒット曲で〝つかみはOK〟 ハイドンのオラトリオ『四季』の2回目です。 いよいよ春がやってきて、畑から雪が消えます。 農夫のシモンは、さあ、1年の仕事始めだ、とばかり、張り切って農具を担いで畑に出ていき、鋤で土を起こし、…

クラシックのもうひとつの〝四季〟。ハイドン:オラトリオ『四季』より第1部『春』第1~2曲〝春よ、来い〟

ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809) もうひとつの〝四季〟 前回まで、ほとんど知らぬ人とてないポピュラーなヴィヴァルディの『四季』を聴きましたが、クラシックの曲目には、もうひとつの偉大な〝四季〟があります。 それは、ハイドンのオラトリオ『四季』で…

冬来たりなば春遠からじ。あったかい家の中で過ごす、冬の幸せ。ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』より第4番 へ短調『冬』

ヴィヴァルディの頃の冬は寒かった 今回は、ヴィヴァルディの協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』の中の『四季』から、最後の第4番『冬』を聴きます。 関東は桜が満開ですが、きょうはいきなり雪が降り、季節が一気に冬に逆戻りしました。 ここに月が出た…

ワインに酔っ払い、ジビエに舌鼓。豊穣なヨーロッパの秋。ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』より第3番 ヘ長調『秋』

イタリア・トスカーナの世界遺産『オルチャ渓谷(ヴァル・ドルチャ)』の秋 うれしい収穫の秋! ヴィヴァルディの協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』の中の『四季』から、今回は第3番『秋』を聴きます。 秋をテーマにしたクラシック音楽では、ハイドンの…

熱中症、ハエや蚊、そして雷と暴風雨…。音楽で描かれた夏の災い。ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』より第2番 ト短調『夏』

ヴィヴァルディが描いた、つらい季節 ヴィヴァルディの協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』の中の『四季』から、今回は第2番『夏』を聴きます。 夏といえば、輝く太陽のもと、海、山でのレジャー、バカンスと、我々はいいイメージを持っていますが、この曲…

作曲当時から大人気だった、クラシックの代表作。ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』より第1番 ホ長調『春』

ボッティチェリ『プリマヴェーラ(春)』 クラシック音楽の代表選手 ヴィヴァルディの協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』を聴いてきました。順番は逆になりましたが、今回から冒頭の4曲を取り上げます。 この4曲は独立して協奏曲集『四季』として親しまれ…

心優しき名ヴァイオリニストありき。ヴィヴァルディ:協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』より第7番『ピゼンデル氏のために』, 第8番&第9番

ヴィヴァルディの弟子ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755) ピゼンデル氏って誰? 今回は、ヴィヴァルディの協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』のうち、『四季』を除いた短調の3曲を聴きます。 第7番ニ短調には『ピゼンデル氏のために』というタイ…

嵐のようなヴァイオリン。ヴィヴァルディ:協奏曲集『和声と創意への試み 作品8』より第5番『海の嵐』,第6番『喜び』,第10番『狩』, 第11番&第12番

ヴィヴァルディ『和声と創意への試み 作品8』初版の表紙 続々と出版されるヴィヴァルディの曲集! 1711年、アムステルダムのE.ロジェ社の上質な印刷とプロモーションにより、『調和の霊感 作品3』でヨーロッパ出版界を席巻したヴィヴァルディは、同社から次…

ルネサンスを花開かせたメディチ家の末路。ヴィヴァルディ:協奏曲集『調和の霊感 作品3』第10番~第12番

『調和の霊感 作品3』初版の表紙 「献呈出版」とは 『調和の霊感 作品3』の最終回です。 前回取り上げたように、この12曲のコンチェルト集は、1711年にアムステルダムのE.ロジェ社から出版されました。 当時は出版にあたって、その曲を特定の王侯貴族に捧げ…

【楽譜出版の歴史】音符がオタマジャクシになったわけ。ヴィヴァルディ:協奏曲集『調和の霊感 作品3』第7番~第9番

はじめは原始的な木版刷りから ヴィヴァルディのコンチェルト集『調和の霊感』は、アムステルダムの出版社エティエンヌ・ロジェ社発行の印刷楽譜によって、全ヨーロッパに普及しました。 当時はレコードなどありませんから、音楽の伝播は楽譜に頼るしかあり…

どれが実像に近い?3つのヴィヴァルディの肖像画。ヴィヴァルディ:協奏曲集『調和の霊感 作品3』第4番~第6番

ヴィヴァルディの真の姿は? ヴィヴァルディについては、主に3つの肖像画が伝わっています。 他にも何点かありますが、基本は3点を模写したものです。 一番有名なのはこちらで、CDのジャケットや教科書にも載っていますが、これは実は、ヴィヴァルディのも…

大人気だった〝ヴァイオリンを弾く赤毛の神父〟。ヴィヴァルディ:協奏曲集『調和の霊感 作品3』第1番~第3番

ガブリエーレ・ベッラ『北方の君主たちを迎えて音楽愛好協会で行われたヴェネツィアの娘たちの演奏会』 ミサをサボった神父さま 前回はヴィヴァルディの宗教音楽を聴きましたが、彼の作品で一番人気なのは言うまでもなくコンチェルトです。 バロック時代のコ…

全欧が感動した、ヴェネツィアの孤児たちが奏でる演奏とは。ヴィヴァルディ:グロリア ニ長調 RV589

空から見たヴェネツィア 本場の風格、イタリア音楽 前回までバッハを聴き、バッハには中世以来のヨーロッパのあらゆる音楽が流れ込んでいる、という話になりましたが、その大海に注ぐ2つの大河は、イタリア音楽とフランス音楽です。 フランス音楽については…

バッハが示したSDGsとは。バッハ:ロ短調ミサ 第3部『サンクトゥス』第4部『オサンナ』『ベネディクトゥス』『アニュス・デイ』『ドナ・ノビス・パチェム』

バッハの自筆譜に書かれた「S.D.G.」 偉大なるミサの最終章 おかげさまで300記事目になりました。更新は遅々としておりますが、お読みいただいている方々に深く感謝申し上げます。 今回はバッハのロ短調ミサの最終回です。 異例の4部構成になっているこのミ…

バッハの偉大なる〝終活〟。バッハ:ロ短調ミサ 第2部『ニケーア信条(クレド)』

コンスタンティヌス大帝とニケーア信条 最晩年に取り組んだ企画 バッハ不滅の音楽『ロ短調ミサ』、今回は第2部の『ニケーア信条 Symbolum Nicenum』です。 通常のミサでは第3章『クレド』(信仰宣言)に当たります。 前回まで聴いた第1部の『キリエ』『グロ…

地には平和あれ!穏やかで幸せな年になりますように。バッハ:ロ短調ミサ 第1部後半『グロリア』

フラ・アンジェリコ『栄光のキリストと天使たち』 新年にふさわしい、栄光の賛歌 あけましておめでとうございます。 本年も当ブログをよろしくお願いいたします。 相変わらずつたなく不完全な解説ではありますが、少しでもクラシックを楽しんでいただくご参…

俗世の世渡りのために作られた、史上最も偉大な聖楽。バッハ:ロ短調ミサ 第1部前半『キリエ』

学生に音楽を教えるトーマス・カントル 出世欲から生まれた聖なる傑作 バッハの「世俗カンタータ」を聴いてきましたが、そこからは〝厳粛な宗教音楽家〟バッハのイメージとは違った、親しみやすい姿が見えました。 しかし、〝神聖な〟バッハの宗教曲の最高峰…

つらい仕事のあとは居酒屋で憂さ晴らし。バッハ:農民カンタータ(狂言風カンタータ)『わしらの新しいご領主に』BWV212(後半)

ルーベンス『村人の踊り』 今も昔も、労働者の楽しみは同じ? バッハの「農民カンタータ」の後半です。 ライプツィヒ近郊のクライン・チョッハー村の新しい荘園領主に、ザクセン選帝侯に仕える侍従、カール・ハインリヒ・フォン・ディースカウが就任したのを…