孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

未知との遭遇、轟くドラムロール。ハイドン『交響曲 第103番 変ホ長調〝太鼓連打〟』

地底から響くドラム ハイドンの第2期ザロモン・セットの5曲目は、シンフォニー第103番〝太鼓連打〟です。 シンフォニー冒頭に、極めて異例の、ティンパニによるドラムロールがあるので、この名がつきました。 軽い印象の曲が多いハイドンのシンフォニーで…

競馬に入れ込んだ英国王の物語。ハイドン『交響曲 第102番 変ロ長調』

1791年、アスコット競馬場でのバロネット号とチフニー騎手 フランス革命戦争はじまる ハイドンの第2回ロンドン訪問も、終盤に差し掛かってきました。今回は、第2期ザロモン・セットの4曲目、シンフォニー第102番です。 ヴァイオリニストにして興行主のザ…

近鉄阿部野橋駅で鳴る〝青のシンフォニー〟ハイドン『交響曲 第101番 ニ長調〝時計〟』

チックタックと時間は過ぎる ハイドンの第2期ザロモン・セットの3曲目は、シンフォニー第101番〝時計〟です。 こちらも、愛称がついていることもあり、ハイドンのシンフォニーの中でも最も演奏機会が多いのではないでしょうか。 ハイドンのシンフォニーの…

貴婦人失神!いわくつきのシンフォニー。ハイドン『交響曲 第100番 ト長調〝軍隊〟』

ヨーロッパで流行ったトルコ趣味 ハイドンの第2期ザロモン・セットの2曲目は、シンフォニー第100番〝軍隊〟です。 キリ番でもありますが、この曲は〝驚愕〟〝時計〟と並んで、もっともポピュラーで、人気のある曲です。 私も最初にこの曲を聴いてハイドン…

楽隠居はまだまだ!61歳の再挑戦。ハイドン『交響曲 第99番 変ホ長調』

ボンのベートーヴェン像 ベートーヴェンとの出会い ハイドンは、大喝采を浴び、名声でも収入でも大成功だった1回目のロンドン訪問を終え、1792年6月に帰途につきます。 途中、フランクフルトに立ち寄り、フランツ2世の戴冠式に出席するために滞在していた…

また来るね!とチェンバロであいさつ。ハイドン『交響曲 第98番 変ロ長調』

ロンドンのハイドン(1791年ジョン・ホップナー画) ハイドンは名演奏家ではなかった? ハイドンが1回目のロンドン訪問で作曲した、第1期ザロモン・セットの最後の曲、第98番を聴きます。 この曲は、素晴らしいにもかかわらず、コンサートで演奏されること…

出会いと別れの季節。モーツァルトとの永訣について。ハイドン『交響曲 第97番 ハ長調』

駅馬車の旅 ハイドンとモーツァルトの出会い きょうから4月ですが、東京ではもう桜吹雪が舞っています。 シャンデリアの落下でしばらく脱線しましたが、ハイドンのロンドン旅行のお話に戻ります。 定年退職後、59歳で新たな第2の人生を歩むべく、ウィー…

『となりのトトロ』も、もはやクラシック!? サラ・ブライトマンと、クラシカル・クロスオーバーの曲たち

クラシカル・クロスオーバーの魅力 ミュージカル『オペラ座の怪人』のクリスティーヌ役で世界的に有名になったサラ・ブライトマン(1960- )ですが、1990年にアンドリュー・ロイド・ウェバー(1948- )と離婚してからはソロ歌手としての活躍が始まりました。…

もうひとつのシャンデリア落下事件と、ミュージカル『オペラ座の怪人』〈ロイド・ウェバーとサラ・ブライトマン〉

もうひとつのシャンデリア落下事件と『オペラ座の怪人』 ロンドンでのハイドンのコンサートでは、〝奇跡〟によって死者は出ませんでしたが、後年、パリのオペラ座(オペラ・ガルニエ)で、オペラ上演中にシャンデリアが落下し、こちらは死者が出ました。 ハ…

ハイドン来る!ロンドンの熱狂と、シャンデリア落下事件の謎。ハイドン『交響曲 第96番 ニ長調〝奇跡〟』

18世紀のロンドン ハイドンのロンドン到着 ハイドンのシンフォニー『ザロモン・セット(ロンドン・セット)』の4曲目は、『交響曲 第96番 ニ長調〝奇跡〟』です。 番号順では4曲目になりますが、ハイドンがペーター・ザロモンに招かれてロンドンに到着し、…

貴族は短調、市民は長調が好き?ハイドン『交響曲 第95番 ハ短調』

めずらしい短調の曲 ハイドンのシンフォニー『ザロモン・セット(ロンドン・セット)』の3曲目は、『交響曲 第95番 ハ短調』です。 ロンドン・セット12曲の中で、唯一の短調の曲になります。 ひとことで言えば、短調(マイナー)は悲しい曲、長調(メジャー…

貴婦人の居眠りを覚ます?びっくりシンフォニー。ハイドン『交響曲 第94番 ト長調〝驚愕〟』

ヴァン・スヴィーテン男爵(1734-1803) 貴婦人は居眠りをしたか ハイドンのシンフォニー『ザロモン・セット(ロンドン・セット)』の2曲目は、『交響曲 第94番 ト長調〝驚愕〟』です。 数あるハイドンのシンフォニーの中でも、最も親しまれている曲で、代…

勝負は定年退職後!ハイドン『交響曲 第93番 ニ長調』

ヨハン・ペーター・ザロモン(1745-1815) 定年退職、そして第2の人生 ハイドンのシンフォニーの最高傑作群、『ザロモン・セット(ロンドン・セット)』を聴いていきます。 ハイドンはハンガリーのエステルハージ侯爵家に30年もの間勤勉に仕え、主君ニコラ…

春来る、卒業式にちなんで。ハイドン『交響曲 第92番 ト長調〝オックスフォード〟』

オックスフォード大学ブレーズノート校 常に健康的な音楽 すっかり春めいてきました。かぐわしい大気を胸いっぱいに吸うと、気分が晴れやかになります。 これで花粉が無ければ最高なのですが。〝世の中にたえて花粉のなかりせば 春の心はのどけからまし〟 と…

ポータブル・オルガンの可愛い響き!バッハ『ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第3番』

まるでコンチェルトな曲 バッハのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ、今回は第3番です。 この曲の〝訳あり〟は、これにもバッハの自筆譜はないということです。また、他の2曲と違い、コンチェルト風の3楽章構成ということも謎です。 短調ながら、名曲ブ…

上司と仲良く弾いた曲?バッハ『ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第2番』

弟子の改作? バッハのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ、今回は第2番です。 この曲の〝訳あり〟は、バッハの自筆譜はなく、バッハの死後3年後に書かれた筆写譜だけで伝わっていることです。 楽譜には混乱したところも見受けられ、おそらくこの曲は、オ…

3通りの演奏で愉しむ、訳ありの曲たち。バッハ『ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第1番』

ヴィオラ・ダ・ガンバとは バッハの室内楽曲を、まず、一台の楽器だけで歌い上げる無伴奏曲から聴いてきました。チェロ、ヴァイオリン、フルートの3つの楽器用がありました。 次に、オブリガート・クラヴィーアつき(鍵盤楽器の助奏つき)のソナタです。フ…

降り注ぐ、恵みの春雨のような音楽。バッハ『ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第3番・第6番』

大胆な実験と、洗練された知性の曲 バッハのオブリガート・クラヴィーアつきのヴァイオリン・ソナタを聴いていますが、最後の2曲になります。 こちらは、前回とは一転して明るく、爽やかな曲で、洗練された知性が高く香っています。 バッハは保守的なイメー…

悲しいとき、つらいときに聴く音楽。バッハ『ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第4番・第5番』

レンブラント『聖ペトロの否認』 愛妻への挽歌 前回に続き、バッハの6曲あるオブリガート・クラヴィーア(チェンバロ)つきのヴァイオリン・ソナタのうち、今回は第4番と第5番を聴きます。 前回少し触れましたが、バッハがこの曲を書いた頃、大きな不幸に…

うっとりするような、ふたりの協演。バッハ『ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 第1番・第2番』

オブリガート・クラヴィーアつきのヴァイオリン・ソナタ 前回、バッハのオブリガート・クラヴィーア(チェンバロ)つきのフルート・ソナタをご紹介しましたが、同じコンセプトの曲が、ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバにあります。 バッハは、当時一般的…

心癒される、フルートとチェンバロのマリアージュ。バッハ『フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ 』

典雅なオブリガート・チェンバロ バッハの無伴奏曲を聴いてきましたが、あまりに深遠だったので、そろそろお口直しといこうと思います。 前回は無伴奏フルート・パルティータでしたが、バッハのフルート曲には、伴奏付きのものと、オブリガート・クラヴィー…

闇夜の森に響く、孤独なフルート。バッハ『無伴奏フルートのためのパルティータ 』

フラウト・トラヴェルソ 古いフルート、フラウト・トラヴェルソ バッハの無伴奏曲を、チェロ、ヴァイオリンの順に聴いてきましたが、最後はフルートです。 古楽器のフルートは、フラウト・トラヴェルソと呼ばれています。 それは、バロック以前にはフルート…

ロンドンの地下鉄での思い出。バッハ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ 第3番』

ケーテン時代のバッハ 唯一の長調曲 無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータの最後の曲、第3番です。 唯一、長調の明るい曲ですが、深みはこれまでの短調曲に劣りません。 ソナタ第3番のフーガ、パルティータのプレリュード、ガヴォットなどが聴きどこ…

バッハ入魂の曲〝シャコンヌ〟バッハ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ 第2番』

無伴奏ヴァイオリン・ソナタの自筆譜 不朽の傑作、シャコンヌ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータの第2番です。 それぞれ、第2番は全曲の中で特に有名です。ソナタは第2楽章の大フーガ、パルティータは終楽章(第6楽章)のシャコンヌが聴きどころ…

たった1台のヴァイオリンが奏でる、広大な宇宙。バッハ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ 第1番』

ジギスヴァルト・クイケン 無伴奏の演奏史 前回まで、バッハの無伴奏チェロ組曲を取り上げましたが、今回から、バッハの無伴奏、いやバッハ芸術の極致というべき、無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータをご紹介します。 バッハの天才が最も力強く発揮さ…

偉大なるチェリストによる、偉大なる再発見。バッハ『無伴奏チェロ組曲 第2番~第6番』

アンナ・マグダレーナ・バッハの写譜による『無伴奏チェロ組曲』 〝無伴奏〟の意味するものとは 前回、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番をご紹介しましたが、文字通り伴奏を伴わない、純粋なソロの曲が、バッハにはチェロ、ヴァイオリン、フルートの3種あり…

ストラディヴァリウス〝セルヴェ〟にまつわる物語。バッハ『無伴奏チェロ組曲 第1番』

ストラディヴァリ製のチェロ〝セルヴェ〟(スミソニアン博物館所蔵) ストラディヴァリウスの名器〝セルヴェ〟 前回のシューベルト『弦楽四重奏曲』は、スミソニアン博物館所蔵のストラディヴァリウスを全て使った演奏でご紹介しました。 そのうちのチェロは…

名器で聴く、眠れない夜にぴったりの曲。シューベルト『弦楽五重奏曲 ハ長調』

ウィーンで評判となった、友人たち主催のミニコンサート、シューベルティアーデ(シューベルトの夕べ)で演奏するシューベルト シューベルト室内楽の最高傑作 前回、村上春樹の『騎士団長殺し』に出てくる曲として、シューベルトの弦楽四重奏曲を取り上げま…

続・村上春樹『騎士団長殺し』と音楽。シューベルト『弦楽四重奏曲 第13番〝ロザムンデ〟』そして『ファウスト』

フランツ・シューベルト(1797-1828) カルテットの魅力 村上春樹氏の『騎士団長殺し』では、オペラが重要なファクターになっていますが、それとともに作品を味わい深くしているのが、何曲か取り上げられている弦楽四重奏曲です。 弦楽四重奏曲。String Quar…

村上春樹『騎士団長殺し』と音楽。オペラ『ドン・ジョヴァンニ』とリヒャルト・シュトラウス『薔薇の騎士』

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949) 村上春樹と音楽 私はノンフィクションが好きなので、あまり現代小説は読まないのですが、村上春樹氏が昨年久しぶりに出した長編小説『騎士団長殺し』は、一目見てモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』がテーマと分か…