孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

聴衆という暴君誕生。今に続くコンサートの元祖「コンセール・スピリチュエル」とは。ドラランド『レジナ・チェリ』、コレッリ『クリスマス・コンチェルト』~ベルばら音楽(17)

パリ・テュイルリー宮殿(1850年の絵)※1871年にパリ・コミューンで焼失 巨星墜つ 1715年9月1日、フランス絶対王政の黄金時代を築いたルイ14世が薨去しました。 貴族たちを、王権に反抗しかねない「領主」から「廷臣」にして骨抜きにし、中央集権を実現しま…

音楽用語がイタリア語になったわけ。クープラン『リュリ賛』~ベルばら音楽(16)

エリュシオンの野(ドラクロワ) 音楽用語がイタリア語になったわけ、それは3つのウェーブ 前回、クープランが偉大なるイタリア音楽の巨匠、コレッリを讃えて作曲した『コレッリ賛』を取り上げましたが、そこにはフランス人のイタリア文化に対する、コンプ…

フランス音楽とイタリア音楽、どっちが優れている?果てしない論争のはじまり。クープラン『コレッリ賛』~ベルばら音楽(15)

アポロンとミューズ フランス音楽 vs イタリア音楽 ルイ14世の時代には、音楽界で絶大な権力を握ったリュリが〝フランス音楽〟を確立しました。 それは、フランスこそ偉大にして最高の国!という太陽王の統治理念そのものの音楽であり、その時代には他の国の…

仮面に隠された貴婦人の心のうち。クープラン『クラヴサン曲集』〝フランスのフォリア、あるいはドミノ〟~ベルばら音楽(14)

ヴァトー『ピエロ(ジル)』 新年はフランス風序曲から あけましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いいたします! さて、昨年からヴェルサイユを中心としたフランスの古典音楽を聴いていますが、大クープランのクラヴサン(チェンバロ)…

恋愛成就!恋人岬の鐘の音。クープラン『クラヴサン曲集』〝シテール島の鐘〟~ベルばら音楽(13)

ヴァトー『愛の賛歌』 芸術の表すものとは? クリスマスも終わり、ふたたびフランソワ・クープラン(1668-1733)の珠玉のクラヴサン(チェンバロ)曲に戻ります。 250曲あまりを全て取り上げるわけにはいかないので、人気曲、あるいは私の気に入った曲を挙げ…

クリスマス・イブのための音楽、フランスのノエル。シャルパンティエ『真夜中のミサ』~ベルばら音楽(12)

マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704) パリの市井で活躍したシャルパンティエ 今夜はクリスマス・イブです。フランスのバロック音楽を聴いてきましたが、まさにピッタリの曲があります。 それは、『テ・デウム』の話で取り上げた、マルク=…

フランス・ブルボン王朝歴代のプロフィールと音楽。クープラン『摂政、あるいはミネルヴァ』~ベルばら音楽(11)

ルーベンス『マリー・ド・メディシスの生涯/摂政マリーの至福』 ブルボン朝の華麗なる王朝絵巻 ヴェルサイユ宮殿を主な舞台としたフランスの古典音楽(バロック音楽)を聴いていますが、ここで、近世のフランスを支配した「ブルボン王朝」の代々の王様のプ…

ハーディ・ガーディ(ヴィエル)の楽しくて、やがて悲しき音色。クープラン『偉大なる古き吟遊詩人組合の年代記』~ベルばら音楽(10)

ラ・トゥール『ヴィエル弾き』 音楽によるあてこすり! フランス古典音楽の華というべき、大クープラン(1668-1733)のクラヴサン(チェンバロ)曲の3回目は『偉大なる古き吟遊詩人組合の年代記』と題された曲です。 クラヴサン曲集第2巻・第11オルドルの…

オリーブオイル?木槌?戦争?音楽の謎解き。クープラン『クラヴサン曲集第3巻・第18オルドル』〝修道女モニク〟〝ティク=トク=ショク〟~ベルばら音楽(9)

中世のオリーブ搾り オリーブオイルを搾る音? フランソワ・クープラン(1668-1733)の、標題のついた愛らしいクラヴサン(チェンバロ)曲を聴いていますが、2回目は第18オルドル(組曲)です。 このオルドルには、『修道女モニク』と『ティク=トク=ショ…

どこまでも優雅な、音楽で描いたフランス絵画。クープラン『クラヴサン曲集第2巻・第6オルドル』〝神秘的な障壁〟~ベルばら音楽(8)

フランソワ・クープラン(1668-1733) 貴族のサロンに響いたクープランの音楽 フランソワ・クープラン(1668-1733)は王家の子女たちの音楽教育にも携わりましたが、その中心となった楽器はクラヴサンでした。 フランス語の〝クラヴサン〟は、イタリア語でい…

音楽でめぐる、ヨーロッパ4ヵ国周遊の旅。クープラン『諸国の人々』~ベルばら音楽(7)

フランソワ・クープラン(1668-1733) フランスのバッハ、クープラン一族 太陽王ルイ14世に仕えた音楽家たち〝ヴェルサイユ楽派〟の音楽を聴いてきましたが、中でも際立つ巨匠がフランソワ・クープラン(1668-1733)です。 クープラン一族は、ドイツのバッハ…

戦慄の珍曲!音楽で描かれた麻酔なしの手術。マラン・マレ『膀胱結石手術図』~ベルばら音楽(6)

当時の手術(盲腸) フランスのエスプリ 〝いちばん人間の声に近い楽器〟といわれたヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の深い音色を活かした名曲を数々作曲したマラン・マレ(1656-1728)ですが、落ち着いた深遠な曲ばかりというわけではなく、むしろかなり…

ヴィオールの奏でる奥深い世界と、師弟の愛と確執。マラン・マレ『異国趣味の組曲』~ベルばら音楽(5)

マラン・マレ(1656-1728) グラン・シエクル(偉大なる世紀) ルイ14世時代の重要な作曲家をさらに取り上げます。前回の派手な曲とは対極にある音楽ですが。 それは、マラン・マレ(1656-1728)。 当時は、音楽界に君臨したリュリがライバルの作曲家を干し…

戦勝記念のド派手な賛歌。リュリ、シャルパンティエ、ド・ラランド、ヘンデル、ハイドンの『テ・デウム』~ベルばら音楽(4)

アントワーヌ・コワズヴォ作『リュリ像』 放蕩の権力者、リュリの最後 リュリ(1632-1687)は、ルイ14世の恩寵を一身に受け、フランスの音楽総監督として君臨しました。 王はリュリを数少ない親友と思っており、側近として貴族待遇にしていました。 リュリは…

太陽王を悩ませた大物大臣と、太陽神のわがままな息子の末路。リュリ:抒情悲劇『ファエトン(パエトン)』~ベルばら音楽(3)

ルーベンス『パエトンの墜落』 〝いびつな真珠〟の意味とは 芸術史上、特定の時代の、特徴あるスタイル(様式)には、名前がついていますが、〝バロック〟もそのひとつです。 建築でいえば、ヴェルサイユ宮殿がバロック様式の見本とされています。 バロック…

太陽王ルイ14世と女たち。リュリ『魔法の島の歓楽』『ヴェルサイユの国王陛下のディヴェルティスマン』~ベルばら音楽(2)

ルイ13世と王妃アンヌ・ドートリッシュに囲まれた幼少のルイ14世(背後に宰相リシュリュー枢機卿) 太陽王の出生の秘密 ルイ14世(1638-1715)は1638年9月5日に、ルイ13世(1601-1643)と王妃アンヌ・ドートリッシュ(1601-1666)の王子として生まれました。…

フランス人をコーヒーのとりこにしたトルコからの使者。リュリ&モリエール:コメディ・バレ『町人貴族』~ベルばら音楽(1)

オーストリア、オスマン・トルコ、そしてフランス ヨーロッパとオスマン・トルコの攻防の歴史と、その影響で流行したトルコ風音楽を聴いてきましたが、さらなるエピソードをご紹介していきたいと思います。 オスマン・トルコ帝国が〝黄金のリンゴ〟と呼んで…

ベートーヴェンのトルコ行進曲。アテネからブダペストへ、古代への熱き思い。ベートーヴェン『アテネの廃墟』作品113

もうひとつのトルコ行進曲 〝トルコ行進曲〟は、前回取り上げた、モーツァルトのほか、ベートーヴェン作曲のものもあります。 モーツァルトに比べると一般的なポピュラー度は少し低いかもしれませんが、ピアノを練習している人にはよく弾かれ、親しまれてい…

クロワッサン、ベーグル、コーヒー、そしてトルコ行進曲。モーツァルト『ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331〝トルコ行進曲つき〟』

オスマン・トルコによる第2次ウィーン包囲(1683年) トルコ趣味の音楽、その背景 モーツァルトの結婚にまつわる曲として、オペラ『後宮からの誘拐』を取り上げましたが、これはトルコのハーレムを舞台にした作品でした。 これは当時のヨーロッパ人のトルコ…

ほんとに4日で書いたの!?モーツァルト『交響曲 第36番 ハ長調 K.425〝リンツ〟』と、永久欠番の『交響曲 第37番』

オーストリア・リンツの街 最後の帰郷を終えて 3年ぶりにウィーンから故郷ザルツブルクに帰郷した新婚のモーツァルト夫妻。 生まれたばかりの赤ちゃんを残してのハネムーンでしたが、滞在は3ヵ月に及びました。 結婚に猛反対していた父レオポルト、姉ナン…

先輩を上司のパワハラから救え!ミヒャエル・ハイドンとの交友。モーツァルト『ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲』

ミヒャエル・ハイドン(1737-1806) ザルツブルクで活躍した、ハイドンの弟 モーツァルトが、雇用主のザルツブルク大司教コロレードと衝突し、辞表を叩きつけて大都会ウィーンに飛び出しフリーの音楽家として活動を始めて3年。 新妻を伴って久しぶりにザル…

音楽のトルソー。モーツァルト『大ミサ曲 ハ短調 K.427「第3章 クレド・第4章 サンクトゥス」』

ムリリョ『無原罪の御宿り』 音楽のトルソー 今回はモーツァルト『ハ短調ミサ』の第3章「クレド」と、第4章「サンクトゥス」です。 未完のミサはここで終わり、第5章「アニュス・デイ」は存在しません。 「クレド」は信者として、神とキリストを信じる、…

新妻がたたえる、神の栄光。モーツァルト『大ミサ曲 ハ短調 K.427「第2章 グロリア」』

新妻がたたえる、神の栄光 今回はモーツァルト『ハ短調ミサ』の第2章「グロリア」です。 神の栄光を讃える章「栄光の賛歌」で、どんなミサ曲でもいちばん派手に華やかに書かれます。 ミサ通常文においては第3章クレドに次ぐ長文です。 短いミサではスラス…

彼女と結婚できますように。幸せ願う祈りのうた。モーツァルト『大ミサ曲 ハ短調 K.427「第1章 キリエ」』

最後の晩餐 結婚成就のための、誓いのミサ曲 このところ、モーツァルトの結婚にまつわる曲を聴いてきています。 コンスタンツェとの結婚に対して、父レオポルトは頑強に反対し、なかなか許可をくれませんでした。 そんな父の心を和らげるため、モーツァルト…

賑やかなウィーンの街角。モーツァルト『ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 K.450』

ウィーン・ベルヴェデーレ宮殿 続・コンチェルト3曲セット モーツァルトはウィーン・デビューのあと、自分が主役で、演奏と作曲の腕前を両方アピールできるピアノ・コンチェルトをメイン・ツールとするべく、第11番 へ長調 K.413、第12番 イ長調 K.414、第1…

几帳面なモーツァルトの「自作品目録」。モーツァルト『ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調 K.449』

モーツァルト自筆の『自作品目録』表紙 おさえられない進化と深化 モーツァルトがウィーンに来てピアニスト兼作曲家としてデビューし、最初にリリースしたピアノ・コンチェルト、第11番 へ長調 K.413、第12番 イ長調 K.414、第13番 ハ長調 K.415、の3曲セッ…

180年ぶりに見つかった楽譜。モーツァルト『ピアノ協奏曲 第12番 イ長調 K.414』

スピード感あふれるコンチェルト モーツァルトがウィーンに来て最初に作ったピアノ・コンチェルト3曲セットの最後に取り上げるのは、第12番 イ長調 K.414です。 研究では、通し番号とは一致しませんが、この曲は3曲セットの最初に作られたとされています。…

モーツァルトのマーケティング&プロモーション戦略。モーツァルト『ピアノ協奏曲 第11番 へ長調 K.413』

大事なのは曲か、演奏か 前回、前々回と、モーツァルトがウィーンに来て大人気だった頃のコンサート・プログラムを取り上げましたが、そこで演じられたふたつのピアノ・コンチェルトのうち、第13番 ハ長調 K.415が新曲でした。 すでに触れたように、この曲は…

モーツァルトが出演したコンサートを完全再現【後半】ピアノ協奏曲 第5番ほか

現在のブルク劇場。建物は3代目で、1955年に再建されたもの。 アリア、コンチェルト...音楽の饗宴は続く 前回に続き、1783年3月23日にウィーン・ブルク劇場で行われた、 オール・モーツァルト・プログラムのコンサートの後半です。 曲名の前の題は、モーツ…

モーツァルトが出演したコンサートを完全再現【前半】ピアノ協奏曲 第13番ほか

ヨーゼフ皇太子(のちのヨーゼフ2世)の婚礼を記念したオペラ上演の様子(1760年)。最前列にマリア・テレジア夫妻と皇子、皇女。 上掲の絵に描きこまれた少年モーツァルト。実際にはモーツァルトはこの席にはおらず、神童としてマリア・テレジアに謁見して…