ヴィヴァルディは、専門家からは他の著名な作曲家に比べて低い評価を受けがちで、“ヴィヴァルディは協奏曲を500曲書いたのではない。同じ協奏曲を500回書いたのだ。”と揶揄もされていますが、それはエンターテインメント色が強いからでしょう。
それだけ現代的で分かりやすく、何よりリズム感が軽快でノリは最高です。
リトルネッロと呼ばれるテーマが繰り返されるので、“同じような曲”に聞こえるのでしょうが、なかなかどうして、1曲1曲が個性的で楽しいです。
最初のおすすめです。
Vivaldi:La Stravaganza OP.4
演奏:ファビオ・ビオンディ(指揮・独奏)エウローパ・ガランテ
Fabio Biondi & Europa Galante
ヴィヴァルディのコンチェルト(協奏曲)は前述のように500曲以上ありますが、当時の習慣で、12曲セットで出版されたもの(OP.4、のように作品番号がついている)があり、この作品4のほかに、著名なものにはタイトルがつけられています。
作品3『調和の霊感』L’estro armonico OP.3
作品8『和声と創意の試み』Il cimento dell’armonia e dell’invenzione OP.8
作品9『ラ・チェトラ』La cetra OP.9
有名な『四季』は作品8の最初の4曲にあたります。
『ラ・ストラヴァガンツァ』は、イタリア語で“過度”とか“法外”といった意味で、ヴィヴァルディ自身が、この曲たちをちょっと“やりすぎちゃった”として名付けました。
それほど極端に前衛的な曲でもないのですが、1曲目、第1番変ロ長調の第1楽章のはしゃぎっぷりは、まさにその名にふさわしいです。
前のめりで、思わず体が動き出してしまいそうなリズムです。
この調子は全曲を通じていますので、ぜひ1曲、1曲を掘り出してみてください。
ビオンディの演奏は、まさに法外、極端なものが多く、これを聴くと他の端正な演奏が物足りなくなってしまいそうです。
ヴィヴァルディは本当にバロック時代のロックだったのだなあ、と実感できます。
端正な演奏のおすすめは次です。
演奏:トレヴァー・ピノック(指揮)、サイモン・スタンデイジ(独奏)イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock, Simon Standage & The English Concert
ピノック&イングリッシュ・コンサートは、今では大御所ですが、古楽器ブーム立役者のひとつです。
演奏は透き通るように澄んだ音色で、どの曲の演奏もスタンダードそのものです。
私も繰り返し聴き、親しんだのはピノックの演奏なのですが、これに慣れると、ビオンディの演奏を聴くとブっとぶ思いがするのです。
ぜひ両方、味わってみてください。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
にほんブログ村