
初のハープのためのコンチェルト
ヘンデルのオルガン・コンチェルトを、『作品7』を中心に聴いてきましたが、生前に出版された『作品4』もあります。
数が多くなるので、ご紹介はいつかに回したいと思いますが、そのうち第6番は、ハープで弾いても良い、と指定されており、もっぱらハープ・コンチェルトとして有名なので、取り上げたいと思います。
ハープの原型は竪琴で、ギリシア神話に出てくる太陽神にして音楽の神アポロンや、同じく音楽の神オルフェウスが奏でるほど古い楽器です。
織姫星のある星座のこと座は、オルフェウスの竪琴が天に上げられたものです。
旧約聖書には、若い頃のダビデ王が奏でて、悪霊に取り憑かれたサウル王を慰めた、と記されています。
起源は、狩人が弓を弾いて出した音といわれ、エジプトやメソポタミア文明の初期から存在したといわれています。
しかし、楽器としては音程が不安定だったり、キーチェンジができなかったりと使い勝手が悪く、17世紀後半に生まれたレバーハープによって、ようやくコンサートでの演奏が可能になりました。
それでも音程を正確に取るのは難しく、バロックから古典期まで、あれほど魅力的な音色なのに、ハープを使った曲は驚くほど少ないのです。
このブログの最初の方で取り上げた、モーツァルトの『フルートとハープのための協奏曲』も非常にレアですが、ハープ協奏曲は、実にこのヘンデル自身によってオルガンから編曲された、この曲が史上初なのです。
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ヘンデル『ハープ(オルガン)協奏曲 第6番 作品4の6 変ロ長調 HWV294』
Handel : Harp Concerto no.6 in B flat major, op.4 no6 HWV294
演奏:ウルズラ・ホリガー(バロックハープ)
トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock & The English Conser
第1楽章アンダンテ・アレグロ
バロック音楽のベストにも入ることが多い、人気曲です。ハープの音色は、ヘンデルの優雅な音楽とあいまって、まさに天国的です。どこまでも落ち着いていて、クライマックスのような部分がないことで、かえって安心してこの天国に浸ることができます。
第2楽章ラルゲット
ハープが情緒豊かに、語るように奏でられます。さりげないトリルは、優雅そのものです。
踊るようなテーマは、まさに天使が舞い踊るようです。雲の上でうたたねをしているような、なんともいえない癒しの気分になることができます。もともとオルガンのための曲であったとは思えないほど、ハープの音色にマッチした曲です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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