まるでコンチェルトな曲
バッハのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ、今回は第3番です。
この曲の〝訳あり〟は、これにもバッハの自筆譜はないということです。また、他の2曲と違い、コンチェルト風の3楽章構成ということも謎です。
短調ながら、名曲ブランデンブルク協奏曲第3番に楽想や構成が似ていて、原曲は合奏のコンチェルトだったのではないかと言われています。
ふたたび、ビルスマのチェロ・ピッコロ版からです。
J.S.Bach : Sonata for Viola da Gamba no.3 in F minor, BWV1029
演奏【チェロ・ピッコロ版】:アンナー・ビルスマ(1700年頃チロルで作られたチェロ・ピッコロ)、ボブ・ファン・アスペレン(可搬式ポジティブ・オルガン)
Anner Bylsma & Bon van Asperen
ブランデンブルク協奏曲第3番の第1楽章のような掛け合いで始まります。こちらは短調なので、哀愁が漂っていますが、ヴィヴァルディのコンチェルトの香りもします。テーマがフーガ風に展開していくのではなく、モチーフの反復や変化で展開するのも、ブランデンブルク協奏曲と同じ着想なのです。コンチェルト同様、思わず引き込まれずにはいられません。
高貴な感情を宿したテーマがガンバとクラヴィーア両方から紡ぎだされます。オルガンで演奏されると、ヘンデルの『聖セシリアの祝日のためのオード』の素晴らしいオルガン独奏を思わせる部分があります。
まさにコンチェルトの終楽章のような活発なテーマで始まり、そのうちに流れる素晴らしい伸びやかなフレーズにしびれます。雄大に展開していき、高度な技巧が要求されています。
次に、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロを使った演奏です。
J.S.Bach : Sonata for Viola da Gamba & Cembalo no.3 in G minor, BWV1029
演奏【ヴィオラ・ダ・ガンバ版】:ホルディ・サバル(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、トン・コープマン(チェンバロ)
Jordi Savall & Ton Koopman
最後に、この曲と近親関係にあるブランデンブルク協奏曲第3番を再度掲げてます。
J.S.Bach : Brandenburg Concerto no.3 in G major, BWV1048
演奏:ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
John Eriot Gardiner & English Baroque Soloists
バッハの室内楽シリーズはいったんここで一区切りです。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
【Apple Music のおすすめ】ブログ中の 試聴プレイヤーは、Apple Music会員としてログインすると全曲を聴くことができます。Apple Musicは、完全に広告なしで、オンラインまたはオフラインで5,000万曲以上を聴くことができます。特にクラシックの収録曲は充実しており、同じ曲を様々な演奏者、録音で聴き比べることができ、CDを買うより相当にお得です。料金は定額制で学生¥480/月、個人¥980/月、ファミリー¥1,480/月です。
にほんブログ村
クラシックランキング