孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

美女はみんな浮気する?フィガロの結婚(6)『伯爵、スザンナ、バジリオの三重唱』

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伯爵びっくり、椅子の場面

フィガロの結婚』第1幕第6場

いよいよ、アルマヴィーヴァ伯爵のお出ましです。

きのうバルバリーナと一緒にいるのを見つかって、クビを言い渡されたケルビーノ

なんとかスザンナから伯爵夫人に取りなしを頼んでもらおうとした矢先に、今度はスザンナとふたりでいるところを見つかっては、もう完全にジ・エンド。

ケルビーノはとっさに椅子の後ろに隠れますが、伯爵は気づかず、椅子に座ってスザンナを口説き始めます。

 (レチタティーヴォ

伯爵

スザンナ、どうした? あわてているね?

スザンナ

伯爵さま、お許しください。でも、誰かに見られましたら・・・。

どうかお帰りになってください。

伯爵(スザンナの手を取る)

ほんのちょっとだけだ。すぐに帰るよ。聞いておくれ。

スザンナ(伯爵の手をふりほどく)

何も聞きたくございません。

伯爵

一言だけだ。王様が私をロンドン大使に任命したことは聞いているな? フィガロも連れていくつもりだ。

スザンナ

伯爵さま、恐れ入りますが・・・

伯爵

言ってごらん、なんでもいい、かわいい奴め。

きょう私からもらう権利は、一生お前のものだ。

私に頼み、要求し、命令するがいい。

スザンナ

伯爵さま、権利など私は要りません!

欲しくもなんともありません。ああ、私は不幸です。

伯爵

いやスザンナ、私はお前を幸せにしたいのだ。私がどんなにお前を愛しているか、知っているだろう。バジリオから伝わっているはずだ。

きょう、日が暮れたあと、庭でほんのひととき私と過ごしてくれるのなら、私は何でもしてやるぞ。

そこで邪魔が入ります。誰かが部屋にやってくる気配。伯爵も、スザンナを口説いているところを見つかっては気まずいので、椅子の後ろに隠れます。とっさに、そこに隠れていたケルビーノは椅子の上に。スザンナはその上に部屋着をかけてケルビーノを隠します。

現れたのは音楽教師バジリオ。伯爵とすれば、手下なので別に隠れなくてもよいのですが、こいつがどんなに忠実に動いているか見てやろう、ということで、そのまま隠れています。

バジリオはスザンナに、伯爵の意に沿うよう勧めますが、スザンナはもちろん断固として拒否。

バジリオが、恋人は賢明に選ばなくてはいけないよ、若造や小姓なんかよりは・・・などというので、スザンナは、ケルビーノのこと?と聞き返します。

するとバジリオは、ケルビーノはもっと教育しないといけないよ、あいつは奥方さまにも気があるんだから・・・と余計なことを言います。

スザンナが、いい加減なことを言わないで!と止めると、さらに、いい加減なことじゃないよ、みんな噂しているよ、と続けます。

ついに隠れていた伯爵は耐えかね、『みんなが噂しているだと!?』と飛び出します。

 

第7曲 伯爵、スザンナ、バジリオの三重唱『早く行って、あの女たらしを追い出せ』

伯爵

何だと! 早く行って、あの女たらしを追い出せ。

バジリオ

私とんでもない時に参りまして、どうかお許しください。

スザンナ(失神しかかって)

なんてこと、怖くて、もう私、どうかなるわ・・・

伯爵、バジリオ(スザンナを支えて、体を触りながら)

ああ、かわいそうに、気を失った。心臓はどきどき動いている。

バジリオ

そっと、この椅子の上に寝かせましょう。

スザンナ(正気を取り戻して)

ここはどこ? 何してるの!? 失礼ね、出て行ってください!

伯爵、バジリオ

君を介抱していたのだよ。心配しなくていい。

バジリオ(伯爵に)

あの小姓について私が言いましたことは、ただの憶測にすぎません。

スザンナ

この人はうそつきです! 信用なさらないでください!

伯爵

あの女好きの小僧は追い出す!

スザンナ、バジリオ

かわいそうに・・・

伯爵

かわいそうなものか! これが初めてではないのだ。

スザンナ、バジリオ

どうして・・・?

伯爵

教えてやろう。きのう、バルバリーナのところに行ったら、部屋に鍵がかかっていた。出てきた彼女がおどおどしているので、あやしいと思い、こうやってテーブルクロスを静かに取ってみると・・・(と言いながら、実際に椅子にかけてある部屋着を取る)そこにあの小姓がいやがったのだ!・・・なぬ!?(ケルビーノを見つける)

スザンナ

なんてこと・・・

バジリオ

こりゃ、最高。

伯爵

品行方正なお嬢さま、これはどういうことかな?

スザンナ

ああ、最悪・・・

バジリオ

美女とはみんなこうしたもの。珍しいことではありません。

第1幕一番の喜劇シーンをモーツァルトは見事に曲にしています。オペラでは、ドラマの時々の思いを歌にしますが、ふつうその間ストーリーの進行はストップします。こうした、物語が進む複雑な場面に曲をつけるのは、モーツァルトにしかできない曲芸といってよいでしょう。

バジリオが訳知り顔で歌う、『美女とはみんなこうしたもの(Cosi fan tutte le belle)』というセリフは、皇帝ヨーゼフ2世が気に入り、後日、このセリフを題にしてオペラを作るよう台本作家ダ・ポンテとモーツァルトに命じ、出来たのが『コジ・ファン・トゥッテ』です。〝女はみんなこうする〟という意味ですが、何をするかというと、浮気をする、という意味。邦訳では歌劇『女はみんなこうしたもの』とされますが、元のセリフは『美女』ですので、意味が違ってきますね。

スザンナがケルビーノと浮気をしていたと思った伯爵はニヤニヤ。

バジリオに、すぐフィガロを連れてくるよう命じます。

 

さて絶対絶命のスザンナ。どうなるか、それは次回。

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