弟子の改作?
バッハのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ、今回は第2番です。
この曲の〝訳あり〟は、バッハの自筆譜はなく、バッハの死後3年後に書かれた筆写譜だけで伝わっていることです。
楽譜には混乱したところも見受けられ、おそらくこの曲は、オルガンのためのトリオ・ソナタとして書かれたものを、弟子のひとりが第1番にならって、ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのソナタに改作したのではないか、と言われています。
第4楽章は7弦のヴィオラ・ダ・ガンバでなければ弾けず、当時のガンバ奏者の技巧の高さがうかがえるのですが、6弦でもオクターヴを上げて弾けないこともないといいます。
そのあたりからも、バッハが想定していなかった編成かもしれないのですが、一部混乱があったとしても、バッハならではという構成であり、もしかするとこれに近い編成の原曲はあったのではないか…などという思いもあるのですが、音楽は人気があり、とても素晴らしいものです。
まずは、前回同様、ビルスマのチェロ・ピッコロ版からです。
J.S.Bach : Sonata for Viola da Gamba no.2 in D major, BWV1028
演奏【チェロ・ピッコロ版】:アンナー・ビルスマ(1700年頃チロルで作られたチェロ・ピッコロ)、ボブ・ファン・アスペレン(可搬式ポジティブ・オルガン)
Anner Bylsma & Bon van Asperen
落ち着いたテーマをチェロと鍵盤が語り合います。何かの相談をしているかのように、訥々として応じ合っています。
話し合いの結果、ふたりは意気投合、といった感じです。ダンス風の楽しい楽想で、展開していきます。鍵盤の右手の存在感が大きく、充実したハーモニーを醸しながらリードしていきます。
第3楽章 アンダンテ
淡々と始まりますが、曲が進むうちに、バッハならではの深い抒情が語られていきます。最初の音型が、調や音程を変えて繰り返し登場していきます。
7弦のガンバが要求される難曲ですが、聴く方にはそんなことは感じさせない、明るいジーグ風の楽章です。
次に、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロを使った演奏です。オリジナルの、7弦のガンバを使っています。
J.S.Bach : Sonata for Viola da Gamba & Cembalo no.2 in D major, BWV1028
演奏【ヴィオラ・ダ・ガンバ版】:ホルディ・サバル(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、トン・コープマン(チェンバロ)
Jordi Savall & Ton Koopman
第3楽章 アンダンテ
前述のように、ヴィオラ・ダ・ガンバはバッハが仕えた主君ケーテンのレオポルト公お気に入りの楽器でした。
以前も取り上げましたが、主君がヴィオラ・ダ・ガンバで自ら演奏に加われるように作った、ブランデンブルク協奏曲第6番を再度掲げます。
君臣が心を一つにして楽しむ〝楽興の時〟をほうふつとさせてくれます。
J.S.Bach : Brandenburg Concerto no.6 in B flat major, BWV1051
演奏:ラインハルト・ゲーベル指揮 ムジカ・アンティクワ・ケルン
第1楽章 速度指定なし
第2楽章 アダージョ・マ・ノン・タント
次回は最後の第3番です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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