いよいよ、ブランデンブルク・コンチェルト最後の曲、第6番です。最後の曲ながら、作曲された時期は一番古いといわれています。使われる楽器も古色あふれていまして、ヴィオラ・ダ・ブラッチョ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ2、チェロ1と通奏低音。これだけの少人数ですので、独奏と合奏の区別もありません。
「ヴィオラ・ダ・ガンバ」とは、いったん完全に廃れて復活した古楽器の代表格ともいえるもので、意味は〝脚のヴィオラ〟。つまり、チェロに似ていますが、両足ではさんで演奏するヴィオラ、ということです。では、「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ」は何かというと、〝腕のヴィオラ〟。つまり、これが今のヴィオラのことです。
昔は、〝ヴィオラ〟というのはヴァイオリンより古い言葉で、弦をこすって音を出す楽器の総称だったのです。
ヴィオラ・ダ・ガンバはいったん滅びたので、ヴィオラ・ダ・ブラッチョが、単に〝ヴィオラ〟と呼ばれるようになったわけです。
いずれにしても、ヴァイオリンがいないなんて、オーケストラはもちろん、室内楽でもこの曲しかないくらい異例の編成です。
古いけれど、逆に斬新な曲です。
Brandenburg Concerto no.6 , B-Flat major , BWV1051
演奏:トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート
Trevor Pinnock & The English Concert </p
第1楽章 (速度表記なし)
メロディらしいメロディが聞こえてこず、ただただリズムを刻みはじめるので、最初聴いたときは、思わず〝キモい〟と感じてしまった記憶があります。
しかし、聴くにつれ、その独特の世界にすっかり魅せられてしまい、時々無性に聴きたくなる曲となりました。似た曲も思いつかない、不思議な作品です。
第2楽章 アダージョ・マ・ノン・トロッポ
ブランデンブルク・コンチェルトの第2楽章で唯一の長調です。低音楽器たちが奏でる音色は、まるでいぶし銀のようにしぶく、癒されます。
第5番のようにスキップするようにはじまりますが、低弦たちが呼び交わすメロディは、思わず踊りたくなるような楽しさです。茶目っ気のある老紳士が、踊りながらウィンクしているようです。
これで、ブランデンブルク・コンチェルト全曲を一通りご紹介したことになります。
お気に入りの曲はあったでしょうか?
大オーケストラの迫力ある演奏もいいですが、演奏者ひとりひとりの息づかいや思いが伝わるバロックのコンチェルトの魅力は格別です。
コレッリ、ヴィヴァルディ、テレマン、バッハ、ヘンデルetc..。
それぞれの個性あふれるコンチェルトを、好きな時に好きなだけ楽しめる現代の環境には、感謝しても感謝しきれません。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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