
バッハが活躍、演奏したライプツィヒの聖トーマス教会内陣
Merry Christmas !
バッハのクリスマス音楽
12月は、クリスマスにちなんだ曲ということで、ヘンデルのオラトリオ『メサイア』を聴いてきましたが、メサイアは特にクリスマスのために作られた曲ではありません。
クリスマス用の実用的な音楽は、バッハの『クリスマス・オラトリオ』です。
『マタイ受難曲』『ヨハネ受難曲』『ロ短調ミサ』と並んで、バッハの4大宗教曲と称せられている傑作です。
劇場用の娯楽音楽だったメサイアとは異なり、こちらは教会での礼拝用の音楽です。オラトリオといっても、6つのカンタータの集まりで、それぞれ演奏する日が決まっているのです。ヘンデルやハイドンのオラトリオとは異なり、全体を通した明確な物語はないのは、別の日に演奏することも関係しています。
構成は教会暦に従い、下記のようになっています。
第1部 降誕節(クリスマス)第1祝日用(12月25日)
第2部 降誕節(クリスマス)第2祝日用(12月26日)
第3部 降誕節(クリスマス)第3祝日用(12月27日)
第4部 キリストの割礼と命名記念日(新年)用(1月1日)
第5部 新年第1日曜日用(ただし、1月2~5日の間に限る)
第6部 顕現節用(1月6日)
ということで、バッハの曲では珍しく初演した年月日が確定しているのです。
ライプツィヒに来て11年目、1734年のクリスマスから1735年の新年にかけて演奏されました。第5部は、新年明けて最初の日曜日で、しかも顕現節の1月6日前、ということなので、2018年もそうですが、1735年にも無かったので1月2日に演奏されました。
日本では、クリスマスが終わると一気に年越しとお正月モードになりますが、キリスト教では1月6日までイエス生誕のお祝いが続くのですね。
宗教曲が続きますが、ヘンデルとの音楽性の違いも面白いので、ぜひバッハのクリスマスも味わっていただければと思います。
受難曲やロ短調ミサの重さに比べると、クリスマスということもあり、全曲に喜びが満ちていて、幸せな気分になれます。
きょうは12月25日ですので、第1部のハイライトをご紹介します。
バッハ『クリスマス・オラトリオ BWV248 第1部』
降誕節(クリスマス)第1祝日(12月25日)用
J.S.Bach : Weihnachts-Oratorium / Christmas Oratorio BWV248
演奏:ジョン・バット指揮ダニーデン・コンソート
John Butt & Dunedin Consort
第1曲 合唱『いざ祝え、この良き日を』
クリスマス・オラトリオの音楽の特徴は、ほとんど全ての楽曲が、バッハが以前作曲した曲の流用、つまりパロディだということです。この華やかな曲も、ザクセン王妃の祝日を祝うために作曲されました。こうした流用が当時は当たり前だったことはヘンデルのところで前述しましたが、バッハでも例外ではなかったのです。
冒頭、生々しいまでにとどろくティンパニに圧倒されます。ティンパニで始まる曲というのは、あとはハイドンのシンフォニー103番『太鼓連打』や、ベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルトがありますが、いずれも強烈な印象を与えられます。
ティンパニに続いて、フルート、オーボエ、トランペットが、まるでサーカスの始まりのように派手に吹きあい、続いてコーラスが歓喜の声を上げ、イエスが生誕した日を祝います。元が世俗曲だったということも、このオラトリオを親しみやすいものにしています。
第4曲 アリア『シオンよ、そなえよ』
曲は、エヴァンゲリスト(福音書記家)のレチタティーヴォによる解説で進んでいきますが、ここでは主要曲のみをご紹介します。
オーボエ・ダモーレ(愛のオーボエ)のオブリガート(助奏)を伴って、アルトが、救い主の到来に備えよ、と歌う落ち着いたアリアです。
第5曲 コラール『いかに汝を迎えん』
コラールは、以前触れましたが、ルター派の讃美歌で、合唱隊が歌うコーラスと違い、信者たちも歌えるよう、旋律は簡素になっており、バッハは既存の知られた旋律にオリジナルの装飾を加えることが多いです。これも有名な旋律を用い、救い主を迎える心を表しています。
第8曲 アリア『大いなる主、おお、強き王』
力強いバスが、イエスの誕生を頼もしく歌います。華やかなトランペットを伴い、この世に栄華をもたらす王が今、馬の飼い葉桶に眠っている、と幼子の将来を讃える、わくわくするような曲です。
第9曲 コラール『こころより尊びまつるみどりごイエスよ』
イエスをしたうコラールの間に、トランペットの華やかな間奏が入ります。この印象的な曲で第1部は終わります。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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