バッハと並ぶ大作曲家
前回、グレン・グールドの弾くヘンデルを取り上げましたので、今回から、ヘンデルをご紹介していきたいと思います。
ヘンデルは、ドイツで生まれ、イタリアで名声を得、ロンドンで大活躍しました。最終的には英国に帰化し、国家に功績のあった人だけが葬られるウェストミンスター寺院に眠っています。英国人は、ヘンデルは英国の作曲家だと考えています。
生前はオペラとオラトリオで有名ですが、現在ポピュラーなのは『メサイア』くらいでしょうか。
表彰式の定番『見よ、勇者は帰る』や、クリスマスの定番『もろびとこぞりて』もヘンデルなのですが、作曲者としてはあまり知られていないようです。
あとは、すでにご紹介した『水上の音楽』と『王宮の花火の音楽』くらいで、バッハと並び称せられる音楽家なのに、実際に聴かれている音楽は非常に少ないです。
とても魅力的なので、もっとポピュラーになってもいいと思います。
バッハやベートーヴェンの音楽は、もちろん素晴らしいのですが、偉大な人間が刻苦勉励した末に創った、という感じがします。それに対し、ヘンデルやモーツァルトの音楽は、神が奏でているような、人間離れしたものを感じるのです。
もちろん、ただ〝神が降りてきた〟のではなく、彼らも努力しているわけですが。笑
ヘンデルの音楽は、天国で天使が奏でているのはこんな音楽なのだろうな、と思わせるのです。
劇場の幕間にて
さて、今回は、オルガン協奏曲をご紹介したいと思います
オルガンというと、バッハが教会で弾いていたパイプオルガンが思い浮かびますが、ヘンデルのオルガン協奏曲は、劇場で、オペラやオラトリオの幕間に演奏されました。
劇場のオルガンは、建物の一部に組み込まれているパイプオルガンとは違い、分解すれば持ち運びのできるポジティブオルガンです。
ポジティブオルガンは室内楽での合奏にぴったりのオルガンでした。
迫力こそパイプオルガンには及びませんが、その響きは優しく、かわいらしいものです。
ヘンデルのオルガン協奏曲では、その魅力をたっぷりと堪能することができます。
第1番以外は、私の好きな楽章を抜粋でお届けします。
ヘンデル:オルガン協奏曲 作品7 第1番 変ロ長調
Handel : Organ Concerto in B flat major op.7 no.1, HWV306
演奏:サイモン・プレストン(オルガン)
トレヴァー・ピノック指揮イングリッシュ・コンサート
Simon Preston(Organ), Trevor Pinnock & The English Concert
第1楽章 アンダンテーアンダンテーアダージョ
最初のオルガンの和音にしびれます!ここで即興を入れる演奏もあります。オルガンの頼もしいリードをオーケストラが追いかける、楽しい掛け合いが続いていきます。どんどん引き込まれていく魅力ある曲です。
第2楽章 アンダンテ
第1楽章からそのままアンダンテへと続き、抒情と優しさが満ち溢れます。
第3楽章 ラルゴ・エ・ピアノ
愁いを含んだラルゴです。くぐもったようなオルガンの響きも情緒豊かです。
第4楽章 フーガ(アレグロ)
天翔ける天馬のような雄大なフーガです。
オルガンの即興に続いてフィナーレのアレグロのブーレ―になります。陽気そのもの、底抜けに楽しい舞曲です。オルガンが軽妙に踊りまわります。
ヘンデル:オルガン協奏曲 作品7 第6番 変ロ長調
Handel : Organ Concerto in B flat major op.7 no.6, HWV311
第1楽章 ポンポーゾ
ゆったりとしておおらかな、ヘンデルらしい曲です。天国の階段を陽気な神様が降りてくるような雰囲気です。
第3楽章 エール
テンポ早く、のびのびとした歌です。聴くとおおらかな気持ちになれるのはヘンデルの魅力です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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