孤独のクラシック ~私のおすすめ~

クラシックおすすめ曲のご紹介と、歴史探訪のブログです。クラシックに興味はあるけど、どの曲を聴いたらいいのか分からない、という方のお役に立ちたいです。(下のメニューは横にスライドしてください)

声楽曲

オペラ以外の、声楽を含む作品です。

全欧が感動した、ヴェネツィアの孤児たちが奏でる演奏とは。ヴィヴァルディ:グロリア ニ長調 RV589

空から見たヴェネツィア 本場の風格、イタリア音楽 前回までバッハを聴き、バッハには中世以来のヨーロッパのあらゆる音楽が流れ込んでいる、という話になりましたが、その大海に注ぐ2つの大河は、イタリア音楽とフランス音楽です。 フランス音楽については…

バッハが示したSDGsとは。バッハ:ロ短調ミサ 第3部『サンクトゥス』第4部『オサンナ』『ベネディクトゥス』『アニュス・デイ』『ドナ・ノビス・パチェム』

バッハの自筆譜に書かれた「S.D.G.」 偉大なるミサの最終章 おかげさまで300記事目になりました。更新は遅々としておりますが、お読みいただいている方々に深く感謝申し上げます。 今回はバッハのロ短調ミサの最終回です。 異例の4部構成になっているこのミ…

バッハの偉大なる〝終活〟。バッハ:ロ短調ミサ 第2部『ニケーア信条(クレド)』

コンスタンティヌス大帝とニケーア信条 最晩年に取り組んだ企画 バッハ不滅の音楽『ロ短調ミサ』、今回は第2部の『ニケーア信条 Symbolum Nicenum』です。 通常のミサでは第3章『クレド』(信仰宣言)に当たります。 前回まで聴いた第1部の『キリエ』『グロ…

地には平和あれ!穏やかで幸せな年になりますように。バッハ:ロ短調ミサ 第1部後半『グロリア』

フラ・アンジェリコ『栄光のキリストと天使たち』 新年にふさわしい、栄光の賛歌 あけましておめでとうございます。 本年も当ブログをよろしくお願いいたします。 相変わらずつたなく不完全な解説ではありますが、少しでもクラシックを楽しんでいただくご参…

俗世の世渡りのために作られた、史上最も偉大な聖楽。バッハ:ロ短調ミサ 第1部前半『キリエ』

学生に音楽を教えるトーマス・カントル 出世欲から生まれた聖なる傑作 バッハの「世俗カンタータ」を聴いてきましたが、そこからは〝厳粛な宗教音楽家〟バッハのイメージとは違った、親しみやすい姿が見えました。 しかし、〝神聖な〟バッハの宗教曲の最高峰…

つらい仕事のあとは居酒屋で憂さ晴らし。バッハ:農民カンタータ(狂言風カンタータ)『わしらの新しいご領主に』BWV212(後半)

ルーベンス『村人の踊り』 今も昔も、労働者の楽しみは同じ? バッハの「農民カンタータ」の後半です。 ライプツィヒ近郊のクライン・チョッハー村の新しい荘園領主に、ザクセン選帝侯に仕える侍従、カール・ハインリヒ・フォン・ディースカウが就任したのを…

コントにバッハが音楽をつけた!バッハ:農民カンタータ(狂言風カンタータ)『わしらの新しいご領主に』BWV212(前半)

ピーテル・ブリューゲル『農民の踊り』 バッハが村祭の出し物につけた音楽 バッハの「世俗カンタータ」、今回は「農民」を主人公にした実に楽しい作品です。 〝狂言風カンタータ〟と題されているように、愉快な小芝居に曲をつけた、真面目なバッハのイメージ…

月と狩りの女神に祝福された誕生日。バッハ:狩りのカンタータ『楽しき狩りこそ、わが悦び』BWV208

ペンニ『女狩人アルテミス』(1550年) 狩り好き領主へのプレゼント バッハの「世俗カンタータ」を聴いていますが、今回は「狩り」をテーマにしたカンタータです。 古今東西、狩猟は上流階級の最高のアウトドアレジャーです。 日本の武士たちも、武芸の鍛錬…

バッハが結婚披露宴でスピーチしたら。バッハ:結婚カンタータ『消えよ、悲しみの影』BWV202

フランソワ・ジェラール『アモールとプシュケ』1798年 結婚という春の訪れ バッハが公務のかたわら、いわば小遣い稼ぎで、貴族や裕福な市民の冠婚葬祭のために作った「世俗カンタータ」を聴いていますが、今回は「婚」です。 『消えよ、悲しみの影』という言…

〝音楽葬〟におすすめのクラシック10選 ~自分のお葬式の選曲をしてみました~

広がりつつある音楽葬 前回は、バッハが作ったお葬式用のカンタータを取り上げました。この世に別れを告げるにあたり、バッハの音楽で送られた人はどんなにか幸せだったことでしょう。 近年、日本のお弔いも変わってきています。 お墓も、散骨や樹木葬など、…

バッハの遺骨の発掘 ~バッハが音楽に込めた死の意味~ バッハ:哀悼行事『神の時こそいと良き時』BWV106

バッハの墓(ライプツイヒ・聖ヨハネ教会内) ケチケチバッハ!? 前回は、バッハが亡きお妃の追悼式のために作曲した感動的なカンタータを取り上げました。 それは特別な作品でしたが、ライプツィヒの聖トーマス教会のカントル(音楽監督)だったバッハには…

信念を貫き、人々に慕われた悲劇のお妃さまを悼んで。バッハ:追悼頌歌『侯妃よ、さらに一条の光を』BWV198

ザクセン選帝侯妃・ポーランド王妃クリスティアーネ・エーベルハルディーネ・フォン・ブランデンブルク=バイロイト(1671-1727) 玉座を捨て、信仰を貫いた侯妃 前回、前々回と、バッハが音楽監督をしていたライプツィヒが属するザクセンの選帝侯フリードリ…

音楽に殉じた伝説のトランペッターの受難。バッハ:世俗カンタータ 『おのが幸いを讃えよ、祝福されしザクセン』BWV215

コーヒーカップを持つザクセン選帝侯兼ポーランド国王アウグスト3世(選帝侯としてはフリードリヒ・アウグスト2世)(1696-1763) 急な来客!それも王様!! 『コーヒー・カンタータ』以降、バッハの世俗カンタータを聴いています。 今回の曲は、前回取り上…

荒ぶる川たちよ、どうか穏やかであれ!バッハ:世俗カンタータ(音楽による劇)『しのび流れよ、戯れる波』BWV206

エルベ川とドレスデン 神ではなく、君主を讃える音楽 前回、バッハの『コーヒー・カンタータ』を聴きましたが、バッハはほかにも20曲ほどの世俗カンタータを作曲しています。 それらは、『コーヒー・カンタータ』のような余興や、冠婚葬祭など、様々な日常的…

バッハが作ったコーヒーのCMソング!バッハ「コーヒー・カンタータ」BWV211『おしゃべりはやめて、お静かに』

バッハが演奏したコーヒーハウス 前回は、コーヒーの起源と、ヨーロッパに入ってきたプロセスに触れ、「コーヒーハウス」が、英国では近代市民社会への扉を開き、フランスでは革命の口火を切ったさまをみました。 今回はドイツです。 北ドイツへのコーヒー輸…

26歳の作曲家が死の床で聖母に捧げた〝白鳥の歌〟ペルゴレージ『スターバト・マーテル』

マンテーニャ『磔刑図』(1459年) 十字架にかけられた我が子を見つめる母 ペルゴレージ(1710-1736)は、インテルメッツォ『奥様女中』で一世を風靡しましたが、その名を不朽のものにしたのは、その若すぎる死の間際に書いた宗教音楽『スターバト・マーテル…

ラモーおすすめアルバムその4。サビーヌ・ドゥヴィエル『ラモー:壮大なる愛の劇場』リリック・コロラトゥーラ・ソプラノによるラモーのオペラいいとこどり。~ベルばら音楽(39)

サビーヌ・ドゥビエル ラモーの架空にして究極のオペラ ラモーおすすめアルバム、最後の4枚目は、フランスの注目のソプラノ歌手、サビーヌ・ドゥヴィエルが2013年に出したデビューアルバムです。 これまでのアルバムはラモーのオペラから、管弦楽曲を中心に…

ラモーおすすめアルバムその3。クルレンツィス『ラモー:輝きの音(オペラ=バレからの舞曲)』目に見えない、音楽の光とは。~ベルばら音楽(38)

テオドール・クルレンツィス 目の不自由な人に〝光〟を伝える方法とは ラモーおすすめアルバムの3枚目は、テオドール・クルレンツィス指揮、ムジカ・エテルナの『輝きの音(オペラ=バレからの舞曲)』です。 クルレンツィスは1972年、ギリシャ・アテネ生ま…

聴衆という暴君誕生。今に続くコンサートの元祖「コンセール・スピリチュエル」とは。ドラランド『レジナ・チェリ』、コレッリ『クリスマス・コンチェルト』~ベルばら音楽(17)

パリ・テュイルリー宮殿(1850年の絵)※1871年にパリ・コミューンで焼失 巨星墜つ 1715年9月1日、フランス絶対王政の黄金時代を築いたルイ14世が薨去しました。 貴族たちを、王権に反抗しかねない「領主」から「廷臣」にして骨抜きにし、中央集権を実現しま…

クリスマス・イブのための音楽、フランスのノエル。シャルパンティエ『真夜中のミサ』~ベルばら音楽(12)

マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704) パリの市井で活躍したシャルパンティエ 今夜はクリスマス・イブです。フランスのバロック音楽を聴いてきましたが、まさにピッタリの曲があります。 それは、『テ・デウム』の話で取り上げた、マルク=…

フランス・ブルボン王朝歴代のプロフィールと音楽。クープラン『摂政、あるいはミネルヴァ』~ベルばら音楽(11)

ルーベンス『マリー・ド・メディシスの生涯/摂政マリーの至福』 ブルボン朝の華麗なる王朝絵巻 ヴェルサイユ宮殿を主な舞台としたフランスの古典音楽(バロック音楽)を聴いていますが、ここで、近世のフランスを支配した「ブルボン王朝」の代々の王様のプ…

戦勝記念のド派手な賛歌。リュリ、シャルパンティエ、ド・ラランド、ヘンデル、ハイドンの『テ・デウム』~ベルばら音楽(4)

アントワーヌ・コワズヴォ作『リュリ像』 放蕩の権力者、リュリの最後 リュリ(1632-1687)は、ルイ14世の恩寵を一身に受け、フランスの音楽総監督として君臨しました。 王はリュリを数少ない親友と思っており、側近として貴族待遇にしていました。 リュリは…

音楽のトルソー。モーツァルト『大ミサ曲 ハ短調 K.427「第3章 クレド・第4章 サンクトゥス」』

ムリリョ『無原罪の御宿り』 音楽のトルソー 今回はモーツァルト『ハ短調ミサ』の第3章「クレド」と、第4章「サンクトゥス」です。 未完のミサはここで終わり、第5章「アニュス・デイ」は存在しません。 「クレド」は信者として、神とキリストを信じる、…

花嫁がたたえる、神の栄光。モーツァルト『大ミサ曲 ハ短調 K.427「第2章 グロリア」』

花嫁がたたえる、神の栄光 今回はモーツァルト『ハ短調ミサ』の第2章「グロリア」です。 神の栄光を讃える章「栄光の賛歌」で、どんなミサ曲でもいちばん派手に華やかに書かれます。 ミサ通常文においては第3章クレドに次ぐ長文です。 短いミサではスラス…

彼女と結婚できますように。幸せ願う祈りのうた。モーツァルト『大ミサ曲 ハ短調 K.427「第1章 キリエ」』

最後の晩餐 結婚成就のための、誓いのミサ曲 このところ、モーツァルトの結婚にまつわる曲を聴いてきています。 コンスタンツェとの結婚に対して、父レオポルトは頑強に反対し、なかなか許可をくれませんでした。 そんな父の心を和らげるため、モーツァルト…

モーツァルトが出演したコンサートを完全再現【後半】ピアノ協奏曲 第5番ほか

現在のブルク劇場。建物は3代目で、1955年に再建されたもの。 アリア、コンチェルト...音楽の饗宴は続く 前回に続き、1783年3月23日にウィーン・ブルク劇場で行われた、 オール・モーツァルト・プログラムのコンサートの後半です。 曲名の前の題は、モーツ…

モーツァルトが出演したコンサートを完全再現【前半】ピアノ協奏曲 第13番ほか

ヨーゼフ皇太子(のちのヨーゼフ2世)の婚礼を記念したオペラ上演の様子(1760年)。最前列にマリア・テレジア夫妻と皇子、皇女。 上掲の絵に描きこまれた少年モーツァルト。実際にはモーツァルトはこの席にはおらず、神童としてマリア・テレジアに謁見して…

姉妹の華麗なコロラトゥーラ。フランスの歌姫と、日本の誇る田中彩子さんと。モーツァルト『テッサリアの民よ』『夜の女王のアリア』

モーツァルトの結婚とウェーバー姉妹 前回、婚礼の音楽を取り上げたので、モーツァルトの結婚にまつわる音楽を聴いていきたいと思います。 モーツァルトは、1782年8月4日にコンスタンツェ・ウェーバーと結婚します。(ドイツ語の発音では〝ヴェーバー〟が近…

バッハによる年越し、力強いフィナーレ。『クリスマス・オラトリオ 第6部』(6)

東方三博士の礼拝 顕現節とは きょう1月6日は、キリスト教では『顕現節』『顕現日』『公現祭』などと呼ばれる祝日です。 前項で触れたように、幼子イエスを東方三博士が礼拝したことを記念しています。 この日をもって、クリスマス以来、キリスト教でのイエ…

星に導かれた、謎の東方三博士。バッハ『クリスマス・オラトリオ 第5部』(5)

ケルン大聖堂にある東方三博士の金棺 バッハの『クリスマス・オラトリオ』全6部を、実際に演奏された教会暦にしたがって聴くシリーズの5回目です。第5部は、新年第1日曜日用ですが、1月6日までに該当する日曜がなければ、その間のどの日かで演奏されま…